焼酎市場、ハイボールブームの落ち着きを背に再興なるか

2012年10月29日 11:00

 日本政策投資銀行の調査によると、酒類全体の国内消費量は年々減少しており、2000年度には92億7600万リットルであった消費量が2010年には77億1700万リットルにまで減少している。中でも一時期ブームとなった焼酎は、2000年度に8.4%だった構成比が2005年度には12.4%にまで伸長していたものの、ブームが去ってからは徐々に減少し、昨年には11.9%にまでシェアを落としている。

 帝国データバンクによると、売上高に占める焼酎比率が50%以上の全国の企業を対象とした焼酎メーカーの2011 年の上位50 社売上高合計は2791億500万円となり、比較可能な2005年以降では過去最低を記録、減収企業は約7割を占めている。人気麦焼酎「いいちこ」ブランドを擁する三和酒類でさえ、9年連続で売上高トップを維持しているものの前年比4.1%減の501億2400万円と7年連続の赤字となっており、上位10社のうち9社が前年割れだという。

 大手酒類メーカーも焼酎分野では苦戦を強いられている。飲みやすさや低価格が支持を受けて17年連続で出荷を伸ばした「かのか」を販売するアサヒビールは、消費者キャンペーンを展開して「かのか」ブランド価値の向上を図り、また、本格芋焼酎「薩摩こく紫」を中心に積極的な拡販活動に取り組んだものの、第2四半期決算では同分野前年同期比24.5%減となっている。また宝焼酎や全量芋焼酎「一刻者」や本格麦焼酎「知心剣」を販売する宝酒造も、第1四半期決算では焼酎の売上が前年同期比92.6%と減少している。

 一方、市場が縮小している中で売上を維持・伸長しているメーカーも存在している。霧島酒造は、芋焼酎「黒霧島」が業務用だけでなく家庭用の需要も拡大し、売上高485億2500万円と前年比2.9%増。「鍛高譚」や「麦盛り」を販売するオエノングループも、第2四半期決算によると、売上高前年比101.3%の微増となっている。

 市場が縮小する要因の一つでもあったハイボールブームが落ち着きを見せ始めており、市場挽回の可能性がないわけではない。今後ますます競争が激化するであろう焼酎市場。どの程度の規模で市場が落ち着くのか、再び焼酎のブームは来るのかなど、依然として注目を集める市場と言えるであろう。