新政権でどうかわる わたしたちの暮らしと環境 (2) 労働環境

2009年09月09日 11:00

 貧困の実態調査も早々にしたいと民主政調

 連立政権の最重要課題のひとつにあがっているのが、雇用対策。今月3日に行われた直嶋正行・民主党政策調査会長、阿部知子・社民党政策審議会長、自見庄三郎・国民新党政策審議会長の3者会談でも災害復旧対策、新型インフルエンザ対策、雇用情勢の悪化を踏まえた緊急雇用対策が挙げられている。

 特に注目されるのが、全ての派遣労働者の労働条件を改善するための労働者派遣法の抜本的見直しと最低賃金を全国平均時給1000円にまで引き上げをめざすとする方針、さらに、全ての労働者を雇用保険の一般被保険者とし、失業した場合にも1年間は在職していた時と同じ程度の負担で医療保険に加入できるようにするという政策。

 雇用保険ついては、現在、一般被保険者になることができるのは「原則6ヶ月以上の雇用の見込みがある場合」だが、これを「31日以上の雇用期間がある全ての労働者」として原則加入とする。合わせて、民主党は労働者の全国最低賃金を設定する計画で、貧困の実態調査を「できるだけ早く行いたい」(同党政策調査会)としており、最低賃金の原則を「労働者とその家族を支える生計費」として算出し、マニフェストでは「全国平均時給800円を想定」している。これをスタート台に1000円をめざす考えで、社民党の福島瑞穂党首も時給1000円以上を目指している。

 労働者派遣法の改正点は製造現場への派遣や日雇い派遣、スポット派遣を原則禁止にすること。民主党は製造現場への派遣については専門職制度を設け、専門業務以外の派遣労働者を常用雇用にさせることにより、不安定な労働者を減らしたいとしている。

 中小零細企業にとっては経営コスト増の負担が大きすぎるため、中小企業向けの法人税率を18%から11%に引き下げることや、中小企業への支援策を打ち出していく、という。来年度予算にどの程度反映されているか注視しなければ、裏がとれないが、できるだけの予算を充当する意向を示している。

 また、失業給付の切れた人や雇用保険対象外の非正規労働者、自営の廃業者が職業訓練を受けた場合には職業訓練受講日数に応じて「能力開発手当」を支給するとしており、失業してから最長2年間を対象にする見込み。こうした背景から、労働者の暮らしに対し、現状よりは社会的セーフティネットが確保される環境が生まれるものと期待される。
(編集担当:福角忠夫)