新政権でどうかわる わたしたちの暮らしと環境 (1) 子育て

2009年09月08日 11:00

 子育て支援 妊娠希望段階から

 民主・社民・国民新党の連立政権による鳩山内閣が来週中に誕生の運びだ。景気最優先の自公政権から、景気最優先とはいえ、国民生活に視点をおいた「内需拡大の環境整備」にシフトを置く鳩山内閣の下で、国民の暮らしはどうなっていくのかを見てみた。

 総選挙で3党は共通して、現在の労働市場の歪みや所得格差を招いた最大原因のひとつに派遣を無造作に拡大、容認してきた労働者派遣法上の不備にあるとして、同法の抜本改正をあげるとともに、学校教育では家計所得と児童生徒の教育到達度に相関関係がみられる(高額所得の家庭の子弟ほど成績が良い)とした専門家の指摘も踏まえ、少子化対策と連動して「安心してこどもを出産しやすい環境づくり、教育など子育てしやすい環境づくり」を図るため、子育て支援、高校教育の実質無償化などを選挙公約にあげた。

 民主は産科医療補償制度に加入している医療機関(国内の99%以上の医療機関が加入している)で出産した場合に現在支給されている出産一時金(現在38万円、未加入の医療機関での出産の場合は35万円、今年10月からは少子化対策の一貫として2011年3月までの時限措置として4万円増額され、42万円、未加入の医療機関での出産の場合は39万円)を見直し、国からの助成金を加えて、最大55万円を出産時に助成する計画をすすめており、「来年度からの実施を予定」(同党政策調査会)している。

 また、不妊治療中の人たちが待望している治療に対する医療保険の適用についても「適応症と効果が明らかな治療に対しては適用を検討する」としており、不妊に悩む人らに光が当てられる機会が訪れた。医療保険の適用については、新内閣発足後「直ぐに検討していく」意向で、実際上の課題などが審議されることになる。子育て、少子化対策に力を入れる社民もこうした政策には共同歩調できると思われ、財源問題は残るものの、子どもが生まれる前の段階から行政が支援していく姿勢は踏み込んだ取組として評価されよう。

 また、こども手当では、中学卒業までの子ども一人当たりにつき、来年度(初年度)は年間15万6000円を支給することとし、2011年度からは31万2000円を支給する。

 公立高校生に対しての支援では授業料を実質無償化し、私学へ通う高校生に対しては年間12万円を、所得が低い家庭にあっては24万円を助成するとしている。また、大学などの学生が希望すれば全員が奨学金を受けられるような新たな奨学金制度を創設する計画だ。

 子育て支援に関連して、生活保護を受けている母子家庭への母子加算の復活や父子家庭への児童扶養手当の支給(所得に応じて月額9000円から4万円)を実現する。民主党幹部は「必ずしたい」と力強く語る。
(編集担当:福角忠夫)