マルシェ・ジャポン・プロジェクト事業者決まる

2009年07月10日 11:00

 大都市の公園や地下街、駐車場などにテントを張り、生鮮野菜などの農林水産物を消費者に直売する「マルシェ」(朝市)構築に向けて、農林水産省が立ち上げた「マルシェ・ジャポン・プロジェクト」の事業者が決まった。9月にも都内で第1回マルシェが開催される予定。生産者と大都市の消費者を直接関係付けることにより、生産者の生産意欲向上にもつながると農林水産省では期待している。

 マルシェ・ジャポン・プロジェクトは政令指定都市など規模の大きい都市にある公園や駐車場、ビルのエントランスなどを利用して、ここにテントやワゴンなどの仮設施設を設け、農林水産物の直売事業の運営に対して、マルシェ設立の費用や運営費用を助成するもの。初年度は運営軽費の全額を助成する。

 まず、北海道から沖縄まで全国を数ブロックに分け、1ブロックに1箇所から4箇所程度のマルシェを開設したいとしており、1マルシェあたり運営費の助成限度額として1億2000万円を予定し、初年度は全国に10マルシェを見込んでいる。

 今回、全国事業者に就いては7件、マルシェ運営者については58件の応募があり、省内に設けられた審査委員会での審査の結果、全国事業者については1社(株式会社ぐるなび)が、マルシェ運営者では10社(株式会社トライ・ビー・サッポロ・札幌市をはじめ万代にぎわい創造株式会社・新潟市、TBSテレビ・東京、株式会社マインドシェア・東京、株式会社野菜ビジネス・東京、森ビル株式会社・東京、株式会社エヌケービー・横浜市、川崎市、マルシェ・ド・大阪テロワール実行委員会・大阪市、東果大阪株式会社・大阪市、株式会社西日本新聞社・福岡市)が選定された=社名後の都市名は各社が運営の中心として提案した都市名。

 同省では今回選定エリアで選定できなかった東北ブロック、中部・東海ブロック、中国・四国ブロックでのマルシェ運営者を再度公募する予定で「今月中旬から8月下旬まで応募を受け付け、9月上旬に選定したい」としている。

 マルシェが開設されれば、大都市の消費者は生産者の顔の見える安全、安心、新鮮な農林水産物を手にすることができるメリットがあるほか、農家にとっては、自身の生産物が直接消費者から評価を受けることや消費者の嗜好を把握して、作物を考えるアンテナショップ的な機能も期待できる。生産物の販売価格もマルシェ運営者の助言も受けながら自ら設定できるなどの魅力がある。また、2009年度末までに生産者の手取額を卸売市場に出荷する場合の1.5倍から2倍にするなどの事業目標がうたわれている。都会と農村を結ぶひとつの方法としても事業の成果が注目されそう。
(情報提供:エコノミックニュース 編集:福角忠夫)