大都市の公園などにテントを張って生鮮野菜など農林水産物を消費者に直売する「マルシェ」(朝市)のシステムを構築することにより、農林漁業者にも消費者にも喜ばれる支援を行おうと、農林水産省が今年度から「マルシェ・ジャポン・プロジェクト」をスタートさせる。マルシェ開催時間は土曜であれば10時から17時までの7時間。平日は11時から19時までの8時間を目安にする。
これは、政令指定都市など規模の大きい都市にある公園や駐車場、地下街、ビルのエントランスなどを利用して、ここにテントやワゴンなどの仮設施設を設け、農林水産物の直売事業の運営に対して、マルシェ設立の費用や運営費用を助成するというもの。初年度は運営軽費の全額を助成するという大胆なもの。
農水省総合食料局では北海道から沖縄まで全国を4ブロックに分け、1ブロックに1箇所から4箇所程度のマルシェを開設したい意向。1マルシェあたり運営費の助成限度額として1億2000万円を予定し、初年度は全国に10マルシェを見込んでいる。生産者と大都市の消費者を生産物を通して直接結ぶ「マルシェ」が成功すれば生産者の生産意欲向上につながることも期待され、同省では22年度にも「マルシェ」増設のための予算を要求していきたいとしている。
同省ではマルシェ運営の事業主体を今月末に公募する予定で、運営主体に選定されたマルシェ運営者はマルシェに生産物を出店する農家の募集や会場の準備を行い、年間を通してマルシェを開催していくことになる。
5月14日に開かれた事業概要説明会では「90弱に及ぶ企業が参加した」(同省)という。同省では今後、公募により応募してくる事業者の中から6月に助成対象の事業者を選定し、9月には第1回マルシェを催していただきたい、と話している。
また、マルシェ開設地域は政令指定都市としているが、熊本や岡山など人口規模の大きいところであれば、これにこだわらない意向だ。また、公的公園でのマルシェ開設には同省としても所管の行政当局に協力を得られるようサポートをしていきたい、としている。
このほか、マルシェ運営事業者には3年後を目途に独立採算できるようにしていただきたいので、2010年度末までに単年度損益の黒字化に向けての努力をもちろん求めていきたいとしている。
また、マルシェを利用する農家にとっては、自身の生産物が直接消費者から評価を受けることや消費者の嗜好を把握して、つくる野菜などを考えるアンテナショップ的な機能も期待できる。生産物の販売価格もマルシェ運営者の助言も受けながら自ら設定できる。また、2009年度末までに生産者の手取額を卸売市場に出荷する場合の1・5倍から2倍にするなどの事業目標がマルシェ・ジャポン・プロジェクトの中にうたわれているので、生産者にとって魅力が大きい。一方で、生産地からマルシェまで生産物を運ぶコストや時間を考えれば、個々の生産者が各々に運び込むようなことを避け、グループで運搬するなどの工夫が求められる。これにより、生産者の連携強化につながる可能性も期待が持たれる。詳しくは農水省総合食料局03・6744・2223
(情報提供:エコノミックニュース 編集:福角忠夫)