取調べの録音・録画 来年度に全国警察署で試行

2008年12月01日 11:00

 吉村博人警察庁長官は全国警察本部長会議で、来年5月21日から施行される裁判員制度に対応して、取調べの一部録音・録画が自白についての任意性の効果的かつ効率的な立証に役立つとの考えを示すとともに、現在、5つの都府県で試行している一部の録音・録画を来年度から全国に拡大して試行する考えを語った。

 同長官はこのため「各都道府県警察においては、取調べの一部録音・録画の実施に習熟した捜査員を着実に増やしていくことが大事であり、5つの都府県警察以外の警察にあっても、刑事局と連携して十分な実践的訓練を重ね、試行を拡大した際に中核となる取調べ官や指導者の育成に努めてほしい」と訓示した。

 また、取調べにあたっては「取調べ適正化のための制度的枠組みを構築しつつある現在、各都道府県警察において、取調べをめぐる不適正事案が新たに発生すれば、全国に与える影響は大きく、警察にとって致命的な事態となりかねない。各位は、この種事案の絶無を期すべき」として、取調べに対する適正化の徹底を改めて求めた。

 このほか、同長官は「振り込め詐欺をはじめ、通り魔殺人事件、食の安全・安心を脅かす事件、インターネット上の違法・有害情報に起因する事件等が発生している。安全・安心な社会を実現するため、警察として治安再生に向けた取り組みを引き続き強化していく必要がる」と、これら事案防止へ一層の努力を求めた。