智証大師帰朝1150年特別展

2008年10月22日 11:00

 天台密教の神髄を伝えた智証大師円珍が唐から帰朝して1150年を迎えるのを記念し、大阪市立美術館は「智証大師帰朝1150年特別展 国宝三井寺展」を11月1日から12月14日まで開く。

 展覧会では修行中の円珍の前に出現した金色(こんじき)の不動を描かせたという「国宝 黄不動尊(きふどうそん)」や、智証大師円珍が天台別院として中興し、現在は天台寺門の総本山として法燈を伝える三井寺の守護神としてまつられる神像「国宝 新羅明神坐像(しんらみょうじんざぞう)」、円珍の彫像「国宝 御骨大師・中尊大師(おこつだいし・ちゅうそんだいし)」など、円珍ゆかりの秘仏を公開。

 また、狩野永徳の長男で没後400年を迎える御用絵師・狩野光信(みつのぶ)[1565~1608]が、境内にある国宝・勧学院(かんがくいん)に描いた華麗な障壁画(襖絵)等三井寺と天台寺門の名宝を一堂に展示公開する。

 智証大師円珍は弘仁五年(814年)に讃岐国(香川県善通寺市)に生まれた。33歳の846年に比叡山一山の真言学頭となる。この頃、夢に山王明神が現れ、唐に渡って法を求めるよう勧められ、853年に入唐求法の旅へ。6年間の在唐中に「両部大教阿闍梨位潅頂法」・密教の奥旨を伝授、法全秘蔵の「五部心観」を付与された。盛唐密教の精髄を示す「五部心観」は、いまも三井寺に伝持されている。