日本経済団体連合会は、税・財政・社会保障制度の一体改革に関する提言をまとめた。税に関する中で、「2010年度、遅くとも2011年度までに消費税の引き上げと中低所得者層の負担緩和に向けた所得税減税を一体的に実施すべき」と提言している。
この中で、おおむね年収500万円以下の世帯(中低所得者層)に対しては大胆な所得税減税が必要といい、具体的には「5年程度を期限として消費税率1%相当程度の規模の大胆な定額減税(例えば、世帯当たり10万円程度)を行う。その際、所得税から控除しきれない税額に関しては、個人住民税から控除する措置が必要である。大幅な所得税減税を行うことで、景気刺激策とするとともに、消費税率引き上げによる負担の緩和を図るべきである」としている。
また、消費税率の引き上げについては最低5%の引き上げが必要で、その際、国が7%、地方が3%の配分にすべき、と提言。その際、「欧州諸国に見られるとおり、基礎的な食料品等に関しては極力品目を限定して軽減税率(現行の税率5%を維持)の適用を検討すべき。また、制度の複雑化や納税者、執行当局双方におけるコンプライアンスコストの増大、税収の減少などを考慮すれば、消費税率は、本来極力、単一税率を維持することが望ましい。軽減税率導入の目的はあくまで、生活必需品における負担増大の回避である。このような観点からは、一定の所得階層ごとに消費税負担相当額を所得税から税額控除する制度なども検討に値する。所得税減税と軽減税率の導入により、中低所得者層の消費税引き上げによる負担増の大部分は解消され、景気への影響も最小化することが可能と考えられる」と引き上げ時の考慮すべき点を指摘。
また、税制の公平性や効率を高めるために、納税者番号制度の実現をはかるべきと提言した。