日立製作所と東京大学生産技術研究所はスーパーコンピュータに搭載されたプロセッサを細やかに制御することで、プロセッサを集積したLSIの消電力化を実現できる技術を開発した。
開発された技術は、スーパーコンピュータで大規模計算を行う際、プログラムのパターンによって計算処理を行うプロセッサを特定できることを利用したもので、プロセッサの動作周波数と基板電圧を調整できる回路(レジスタ回路)を設け、計算処理を行わないプロセッサの周波数を下げるとともに、基板電圧を調整することによって、リーク電流を削減するもので、LSIの省電力化が図れるとともに、スーパーコンピュータ全体の省電力化にもなる。
同社は、これらの開発によって、高性能化と省電力化を両立。環境に配慮した将来の大規模科学技術計算機を実現させるための基本技術となったとしている。研究は文部科学省科学技術試験研究委託事業による委託業務「低電力高速デバイス・回路技術・論理方式の研究開発」により実施された。
実験では、90nmプロセスの4個のプロセッサを搭載した実験用LSIを試作した結果、LSIの消費電力を最大で約50%削減できる見通しが得られた、という。近年、環境への配慮から、情報機器への省電力化の要求が高まり、スーパーコンピュータの処理速度を高速化させるだけでなく、消費電力の低減も実現させることが大きな課題となっていた。