文部科学省の有識者会議は、このほど学校の運動部部活動の指導において、勝利至上主義の否定を明記した、ガイドラインを作成、下村博文科相に提出した。このガイドラインは、体罰や、パワハラなどの許されない指導の具体例も盛り込んである。
これは、大阪市立桜宮高バスケットボール部の男子生徒が自殺した問題を受け、体罰防止を徹底するのが目的で、今後教育委員会を通じて、全国の学校に配布する予定。
指針は、バレーボールでの反復レシーブ練習は、通常の指導として許されるが、熱中症多発時の給水なしのランニングや、生徒が受け身をできないような投げ方は、指導者と生徒の間に信頼関係があっても許されないと具体例を挙げて厳しく断じている。
またパワハラと判断される脅し、嫌がらせ、特定の子どもに過度な肉体的・精神的負荷を与える行為も認められないとしている。
現在学校の運動部活動にはびこる暴力的指導は、各運動部に拡大しているといえよう。表面に出てきたのは氷山の一角、その根絶に向け、ようやく動き出した模様だ。
今回まとめたガイドラインについて、生徒の引率で、休日返上で活動している部活顧問が、指導に萎縮することが、懸念されるとの声も一部にはあるのは確か。指導者の資質向上に取り組む大学の教員養成課程に期待したい。
大学では、部活動の指導者育成を主眼に、年間活動計画の作成など部活動の運営、生徒の意欲喚起や、人間関係のための指導、事故防止などを盛り込んだ、カリキュラムの開発が急務と言えよう。
今後こうした学校の運動部部活だけにとどまらず、こうしたガイドラインは、一般の子ども達のスポーツ、倶楽部の指導者にも拡大していくことが必要になろう。
少年野球、少年サッカーチームなどその練習を見ていると指導者の暴言、体罰は、学校の部活よりも厳しいと指摘する向きもある。暑い中グランドを何週も走っているのを良く見かける。
一時スポーツ指導員の養成に力を入れていた自治体もあったが、それはスポーツ障害が主で、こうした細かな指導は教えていないのが実情だ(編集担当:犬藤直也)