中国商務省の沈丹陽報道官は「TPP加入するメリット、デメリットを検討している」と一部の中国メディアに会見で語った。
中国は、これまで貿易や投資の自由化を目指すTPPに関しては、慎重な姿勢を示していたが、ここにきて態度を変えようとしていることに日本を始め、TPP参加国に動揺を与えている。しかし、大方の見方は、その意思があっても今年中の加入は、難しいとの見方が支配的である。と言うのは、TPP交渉は、10月までに大筋合意を決めており、それまでに中国が日本を含む12ヶ国の了解を取り付けられるか疑問視する向きが多いのは確か。
日本にとっては最大の輸出国中国が、TPPに加入すれば、中国の輸出品の7割が関税撤廃になり、日本の輸出製品が増えるが、逆に、中国からの農産物が大量に入ってくる可能性も秘めているといえよう。中国の農産物の輸入増大で、日本の農産物業者は、混乱している中、関税撤廃で、より大量の安い農産物が入ってくるとなると、まさに死活問題、TPPを根本から見直す必要に迫れる可能性すらある。
米政府は、中国のTPP参加には「中国の加入を拒む理由はない」との立場をとっている。TPP参加国が増えれば国内経済に弾みがつくと、一応は歓迎の意を見せているが。しかし中国は、アメリカや欧州連合(EU)とは貿易摩擦をたびたび起こしているのは事実。こうした問題を抱えた中国に、たして加入に全ての国が了解するかどうか。
ここで中国がTPPに加入すれば、日本と米国は、日米でアジアの経済圏を引っ張り、中国をけん制するといった当初のおもえあくが根底から崩れることにもなろう。(編集担当:犬藤直也)