1日、欧州連合(EU)統計局は、5月のユーロ圏(通貨統合参加17カ国)の失業率が季節調整済みで12.2%となったことを発表した。前月4月の12.1%を0.1%上回り、過去最悪水準の失業率となった。
失業者の数も前月比で6万7000人増えて、1922万2000人となっており、1995年に統計を開始して以来、最悪水準の結果に。
債務危機の影響により不景気の続くユーロ圏。EUが雇用対策を最優先課題としているにもかかわらず、今回のこの結果。その対策が、依然として機能していない事実をまざまざと見せつけられることとなった。
国別で見た場合、加盟国の中で最も失業率が高かったのがスペインで、前月より0.1%増えて26.9%だった。次に高いのがポルトガルの17.6%、さらにキプロスの16.3%がそれに続く。ギリシャは3月時点で26.8%だった。
またイタリアやフランスといった国が、それぞれ12.2%、10.9%と失業率の高い傾向にある一方、ドイツは5.3%という結果だった。EU全体(27カ国)では、4月と同じ10.9%だった。
さらに25歳未満の年代の失業率は全体で23.8%となり、前月よりも0.1%改善されたものの、それが深刻な状況であることに変わりはない。
EUは先月27日に、ブリュッセルで開かれた首脳会議の際、悪化傾向にある若者の失業率への対策として、2014年からの2年間に80億ユーロ(約1兆300億円)を投入することを決定したばかりで、失業後や学校卒業後、4ヶ月以内に再就職のための職業訓練が受けられるシステムを構築する予定だ。このことに関して、EUのファンロンパイ大統領は「一夜ですぐに解決出来るような問題ではないが、早急な行動こそがこの状況を改善するはず」と述べていたが、その「早急な行動」を言葉通り急がなければ、ユーロ圏を覆うこの「失業率悪化」の波は止まりそうにない。
ヨーロッパはもともと恒常的に失業率の高い傾向にあり、2007年の好景気の時でさえ失業率は7%台。08年のリーマンショック以降、失業率は急速に悪化していき、今回のような結果となった。(編集担当:滝川幸平)