30日、ANAホールディングス<9202>は、アメリカのパイロット訓練会社「パンナム・ホールディングス」と、子会社の株式すべてを1億3950万ドル(約137億円)で取得することを発表した。
これは、ANAホールディングスによる、2013-15年度の中期経営計画における戦略的投資の一環であり、アジア圏内でもって著しい需要の増加が見込まれるパイロット養成需要を早期に取り込み、グループの訓練事業展開を加速させる狙いがある。
ANAホールディングスは去年の8月に、公募増資で約1700億円を準備し、基盤の強化を図ると共に、アジア圏内を中心とした海外投資を行う方針を示していた。
「パンナム・ホールディングス」は、パンアメリカン航空のパイロット訓練部会社として1980年に設立され、その後パンアメリカン航空が経営破たんを起こすと、独立した訓練提供会社として事業を継続し、アメリカ国内だけでなく、南米やアジアなどのパイロット育成需要を取り込んできた。
会見を行ったANAホールディングスの清水信三上席執行役員は、「アジア圏内において、パイロットの需要は高く、ヘッドハンティングなども行われている」と話し、「パンナム・ホールディングス」が持つパイロット育成ノウハウをアジア圏内に展開することで、ANAとしての訓練事業をグローバルに推進していきたいと述べた。
また、首都圏で展開が予定されている格安航空事業(LCC)については、新事業を年末あたりから開始すると発表した。首都圏からリゾート地への需要の取り込みを狙い、エアバス320-200の2機で運航を開始し、今期末までには5機体制にする予定。8月の中旬頃にその事業を行う新しい会社名を発表し、運航計画の詳細などは9月下旬頃に発表される予定だ。
ANAのLCC合弁会社「エアアジア・ジャパン」に関しては、マレーシアの「エアアジア」は合弁事業を解消すると発表し、ANAは「エアアジア」側の持ち分を買い取ると表明している。清水執行役員は会見で、「『エアアジア・ジャパン』は10月末でいったん運航を終了し、新しいLCC事業が従業員などを引き継ぎ、年末頃から運航が開始される予定」と述べた。そして、将来的に事業のパートナーを探す可能性について否定はしなかった。 (編集担当:滝川幸平)