2013年3月7日、新石垣空港・愛称「南ぬ島石垣空港」(ぱいぬしまいしがきくうこう)が、79年の建設計画発表から実に34年の時を経て、ついに開港した。
計画当初は、美しいさんご礁を有する白保の海岸を埋め立てる計画であったため、地元住民をはじめ、自然保護団体や研究者などの支援者が反対運動を起こしたことで、計画は撤回。その後、候補地の選定で紆余曲折があったものの、現在のカラ岳陸上案が選定され、建設される運びとなった。
現在、新石垣空港には、日本航空(JAL)<9201>のグループ企業である日本トランスオーシャン航空(JTA)、が4路線、琉球エアーコミューター(RAC)が3路線、そして全日本空輸(ANA)<9202>が6路線就航しており、今夏から秋にかけて、さらにLCCのPeach Aviation (APJ)が2路線、さらにスカイマーク(SKY)も3路線の新規就航を予定している。
沖縄の空の覇権争いが激化の様相を呈する中、日本トランスオーシャン航空は5月30日、13年3月期決算で営業収益が前期より2.3億円増の397億2200万円となったと発表した。全社一丸となって取り組んだ費用抑制と、グループ全体で需要に応じた路線ネットワークの見直し、機材効率化を推し進めたことにより、営業利益は217.6パーセントの43億9800万円、経常利益は228.3パーセントの44億2100万円となった。
好調ではあるものの、日本トランスオーシャン航空でも、やはりLCCの沖縄進出には脅威を抱いているようで、これに対し、安全で安心できる運航と、「うちなーの翼」として地元密着の航空会社であることを前面に押し出してアピールを始めている。また、那覇-福岡線、石垣-羽田線に導入して好評を得ているクラスJサービスの対象路線を拡大し、7月1日搭乗分より、那覇-石垣、那覇-宮古島線でも利用可能にする。
一方、ANAも、那覇・宮古・石垣の沖縄路線の搭乗券を見せるだけで人気のスポット「海洋博公園 沖縄美ら海水族館」をはじめとする、沖縄の各施設で割引やプレゼントなどのおトクなサービスが受けられる「沖縄でかけトク!? キャンペーン」を展開中で、LCCではできないサービスで利用客を引き止めたい考えのようだ。
新石垣空港の方も整備が着々と進んでおり、2017年春頃を目処に計画されている沖縄県道214号石垣空港線が開通すれば、石垣市街と新空港はほぼ直線で結ばれ、空港から市街地へのアクセスが約20分程度に改善される予定だ。
新石垣空港は滑走路が旧石垣空港より500m長い2000 m。そのお陰で中型ジェット機が離着陸できるようになり、首都圏への直行便の運航も可能となった。東京からのフライトも約1時間短縮され、沖縄ブームと相まって、ますます人気が高まっている。その上、LCCが乗り入れを開始すれば、さらに過激なサービス合戦も展開されることだろう。今夏からしばらく、石垣の空が賑やかになりそうだ。(編集担当:藤原伊織)