2012年は日本の航空業界にとって大きな変革の年だった。日本初の格安航空会社LCCが相次いで登場したことで、空の旅の選択肢が広がったとともに、航空運賃やサービス、安全面などについて様々な意見が飛び交った。
日本の二大航空会社、日本航空(JAL)<9201>と全日本空輸(ANA)<9202>にとっても大きな節目であり、価格面で対抗するのではなく、サービス面や安全面でLCCとどう差別化を図り、アピールしていくかが課題となっている。
そのような状況の中、毎年恒例となっているリクルートのエイビーロード「エアライン満足度調査2013」が発表された。
栄えある第1位に選ばれたのはシンガポール航空。昨年に続いての二年連続優勝となっており、乗客の満足度の高さが窺える。第2位に選出されたのは、エミレーツ航空。エミレーツ航空はイギリスに拠点を置く航空サービスリサーチ会社・スカイトラックス社が先日発表した「エアライン・オブ・ザイ・ヤー 2013」において、ワールド・ベスト・エアライン賞を獲得している、世界も認めるエアサービス。日本人の利用者にもきちんと評価されているようだ。
そして3位にようやく、日本のJALがランクイン。調査対象者の声としては、子供に対する対応や、誠意のある接客態度が高評価を得たようだ。一方、ANAは、昨年の3位から5位に大幅に順位を落としてしまっている。「エアライン・オブ・ザイ・ヤー 2013」では世界4位の評価に大躍進して、日本の航空会社では初の5つ星を獲得した。しかしながら、日本人旅行者の評価は厳しかったようだ。
そして何よりも興味深いのは、世界の名だたるエアラインをおさえて、日本のLCC、ピーチが第10位に選ばれたことだ。ピーチは相変わらず好調で、秋にはいよいよ成田空港にも乗り入れを予定しており、次々と路線を拡大している。
また、ピーチの利用客層の約5割を女性が占めることから、ターゲット層が一致する武田薬品工業<4502>の新商品「アリナミンRオフ」とのコラボレーション企画も行われている。この企画は、ピーチの国内線全路線に搭乗する15歳以上の女性客を対象に、ドリンク剤「アリナミンRオフ」1万本を機内で無料配布し、さらには客室乗務員が機内アナウンスで商品を紹介するというものだ。ピーチでは、これを皮切りに今後も同様のコラボレーション企画を様々な企業や団体、商品と実施していく予定だ。
このようなコラボレーション企画やスポンサー企画のお陰で、LCCならではのサービスも充実したり、旅客運賃に反映されてさらに価格が安くなったりするのであれば、利用者にとってもメリットが大きく、満足度も上がるだろう。満足度ランキングでも、その内に、JALやANAに迫る日もくるかもしれない。(編集担当:藤原伊織)