金融庁は、このほどメガバンクみずほ銀行に対し、反社会的勢力と不正取引したとして、業務改善命令を出した。これはみずほ銀行が、信販会社を通じた提携ローンによる融資で、暴力団などの反社会的勢力との、不正取引があることを知っていながら、2年以上も放置していたとして、業務改善命令を出したもの。
この不正取引を突き止めたのが、金融庁検査だった。銀行を舞台にしたTBS系のドラマ今評判の『半沢直樹』で話題となったのが金融庁検査であった。
今回の取引は、反社会的な勢力に積極的に資金を融通したものではないが、その取引を信販会社から知った時点で、契約破棄なり、いかようにも方法はあった。にもかかわらずそのまま放置していたことが問題なのだ。事件処理が全く不適切であったことに、大きな責任があると言えよう。政府は、平成19年6月に公表した指針では、反社会的勢力とは、「暴力、威力と詐欺的手段を用いて、利益を追求する集団または、個人」と定義している。
銀行と反社会的勢力を巡っては、みずほ銀行の前身である第一勧業銀行が、総会屋に利益供与をしていた事件が起き、社会的な問題となった経緯がある。その教訓が生かされていないのは残念だ。みずほ銀自体は、住宅ローンを契約したり、自行の預金口座を開設したりする場合は、顧客を徹底的に調査し、反社会的な勢力を締め出している。
しかし今回の提携ローンに関しては、信販会社が、顧客の事前審査をしており、銀行は事後に審査をしているだけだ。その後審査で、反社会的勢力との取引を把握しながら担当役員で情報が止まり、放置していたことが問題になったといえよう。
ドラマでも反社会的勢力が、支援先企業の取引先に登場するなど描かれており、その類似点が指摘されるように、実際には、このようなことが他の銀行でも起きている可能性は高い。特に信販会社と大手の銀行が、結びついて以来、この手の取引は相当あるものとの見方をする人は多い。今回の問題が氷山の一角でないこと切に望みたいものだ。(編集担当:犬藤直也)