2012年末に発表された現行トヨタ・クラウンは、その新車発表会場にピンクのボディカラーで登場・展示され大きな話題になった。コンサバティブな日本の高級車として伝統を築いてきたあのクラウンがピンク(新色:モモタロウ)のボディを纏っていたのだから驚きの声が上がったのはいうまでもない。しかしながら、そこで配布された正式なクラウンのカタログには、ピンクのボディカラーは掲載されていなかった。しかし、会場で豊田章男社長が「是非とも発売したい」と語っていた経緯はあった。
大きな話題を呼んだそのピンクのクラウンが「特別受注生産」という恰好で販売されることがリリースされたのは8月末。9月1日から30日までの1カ月という期間限定で注文を受け付けた。その結果がタイトルの数字である。ふつうのクラウンが月間6000台以上うれているので、割合としては大きな数字ではない。しかし、「高級セダンであのピンクを選ぶ勇気のある人が650人もいたのは凄い」と驚く人も多い。
このピンクのクルマは、クラウン・アスリートG ハイブリッド車、同アスリートG i-Four(2.5リッター4WDモデル)をベースにした特別仕様車。クラウンとしては、外装色以外にも斬新な色の組み合わせを採用している。ボディカラーは当然ながら新規開発色モモタロウを設定。インテリアでは新色のホワイトの本革シートを採用、内装色ブラックとの組み合わせで明快なコントラストを生み出した。また、演出家のテリー伊藤氏がカラーコーディネートを手掛け、「PINK SURPRISE」をキーワードに、ステアリングやアームレストなど内装の一部にピンクのステッチを施し、メーター指針やスタートボタンなどにピンクを用いた特別感ある室内空間となった。生産は12月にスタート、年明けには路上で見かけるかもしれない。
ところで、気になるのは「どんな人がピンクのクラウンを買ったのか?」だ。トヨタによると30歳〜40歳代にクラウンユーザーとして比較的若いドライバーが4割ほど、女性が35%に達するという。なかには特別限定車ということで、転売目的で購入した人もいるようで、すでに中古車買い取り業者が動き始めているという噂もある。ともあれ、目立つ650台が走り始める。(編集担当:吉田恒)