トヨタのピンクのクラウンは極端に過ぎるか?

2013年08月05日 21:17

 「いつかはクラウン」というコピーがTVコマーシャルで使われたのは、1983年、7代目のクラウンの頃だ。これは当時の、上昇志向に満ちた時代の空気を鋭くとらえた素晴らしいコピーだ。今の50歳代以降の人間なら特にクルマに興味を持っていなくとも多くの人が覚えている。それぐらいインパクトのあるものだったのだ。それから30年、ドラえもんの登場人物「ジャイ子」が、免許をとって初めて乗るクルマがピンクのクラウンだ。「いつかはクラウン」が「いきなりクラウン」になったわけだ。

 ピンクのクラウンは、昨年12月25日に行われた同車の発表会で披露された。この時点では、ピンクのクラウンは広報車両用だったのだが、席上、豊田社長は、「ちょっと時間はかかるけれど、必ず実際にピンクのクラウンが走るようになる」と市販を約束していた。

 トヨタ<7203>は、クラウンの外板色に新開発のピンクを採用した特別仕様車を、9月1日から30日までの1ヶ月間、期間限定で注文を受け付ける。今回の特別仕様車は、印象的なピンクのボディカラーに加えて、白を基調とした内装色を採用する。さらに、演出家のテリー伊藤氏のプロデュースによって、内装にピンクをあしらった特別感あるカラーコーディネートを実施するという。生産開始は13年12月を予定している。

それにしても、「ピンクのクラウン」。あなたはどう思うだろうか。悪趣味とみるか斬新とみるか? どちらにせよ、これだけ世の中の注目を集めたわけだからマーケティング的には大成功だろう。トヨタがここまで大胆な戦略を行うほど、今のクラウンは中身がないのではないか、というのが筆者の考えだ。要するに、カラー以外のセールスポイントがないのだ。ただし、ここが難しいところだが、「じゃあ売れないのか?」というと、それはまた別の問題であるところが悩ましいところである。(編集担当:久保田雄城)