日本特有の各企業の株主優待とは

2012年09月18日 11:00

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野村IR発行「知って得する株主優待2011年版」の人気ランキングで2位となったダイドードリンコの株主優待は、3000円相当の自社製品の詰め合わせ。

 ここ数年の長引く不況により、各社の株価の変動は芳しくなく、個人株主の憂鬱は続いている。株保有者としての明るい話題が少ない中、利点として挙げられているのが1,000社以上もある株主優待といえるだろう。

 近年の株主優待の支持傾向としては、食事券やおこめ券、また自社製品の詰め合わせなど、食品系が挙げられるだろう。少しでも家計が潤う、家族が一緒に楽しめる、分かりやすく得した気分になれるという点に人気が集中しているようだ。野村IR発行の読者アンケート(有効回答数1647名)の結果から「知って得する株主優待2011年版」の人気ランキングを見ても、1位は日本マクドナルドHDの食事優待券、2位はダイドードリンコ、3位は伊藤ハム、4位はカゴメ、5位は日清食品HDの自社製品となっており、トップ10のうち、食品系の優待は8企業を占めている。

 そのなかでも人気ランキング1位を誇るマクドナルドの食事優待券は、1冊中に「バーガー類・お飲み物・サイドメニュー」3種類の商品の無料引換券が1枚となったシート6枚が付いており、全国で使用できることから、高い評価を得ている。また2位のダイドードリンコは、今年6月にドライゼリーのトップシェアを誇るたらみを買収・完全子会化したことで、年に2回、3月と9月に株主宛に送付している3000円相当の自社製品に加え、7月にはたらみの子会社化を記念したゼリーの詰合せを優待品として送付。また先日、第2四半期時点の株主宛に送付した詰合せにもたらみ製品をセットに加え、ボリュームも内容もさらに充実、株主の評判も上々だった。

 しかし株主優待の主流は金券やギフト券で、350社以上が採用しているという。自社にグループ店舗がある企業は、買い物優待券を進呈することが多く、人気ランキングで6位に入っているイオン もその1つだ。また製造業など自社で進呈する製品やサービスがない場合は、QUAカードや商品券などを贈ることも多い。 実はこの株主優待は日本だけの独特の文化だと言われている。他国では、シビアに配当で還元するのが当然という風潮があるが、商品やサービスで還元することで、投資している企業に対して配当以外での企業への思い入れが生まれるとの声もある。この制度も、ワビサビを重んじる日本ならではの文化と考えると実に面白い。