アジア最大級の最先端IT・エレクトロニクス総合展「CEATEC JAPAN 2012」の開催を10月に控え、各半導体メーカーによる開発が加速している。中でもやはりスマートフォンなどを中心とした携帯通信端末に関する開発が多くみられ、まだまだこれらの端末が発展途上であることを実感させる。
ロームは、スマートフォンやデジタルカメラなど小型、世界最小サイズのトランジスタパッケージ「VML0806」(0.8mm×0.6mm、高さ0.36mm)の量産開始を発表。搭載素子の小型化やボンディングの安定性、パッケージの加工精度などのほか、実装面での技術的な課題などもあり1006サイズ(1.0mm×0.6mm、高さ0.37mm)とされていた限界を突破した製品となっており、あらゆるセットでの省スペース化、高密度化に貢献するものである。
また、京セラの100%子会社で水晶デバイスの開発製造会社である京セラクリスタルデバイスは、スマートフォン等の携帯通信端末に搭載される電子部品において、世界最小サイズ(1.6×1.2mm)で、業界最高レベルの低位相ノイズ特性を実現する温度補償型水晶発振器(TCXO)「KT1612」の開発に成功したと発表。世界中で急速な普及が見込まれる次世代高速通信規格等では、位相ノイズが伝送エラーに影響を及ぼすため、TCXOには小型化だけでなく低位相ノイズ特性も求められており、今回の開発はこれに応えるものとなっている。TCXOに関しては日本電波工業<6779>も、同社既存品のTCXOの電源電圧が1.8V Typ.であるのに対して、1.2V Typ.と低電源電圧で、消費電力約20%減を達成した製品の開発を発表している。
さらに村田製作所は、世界最小0201サイズ(0.25×0.125mm)の積層セラミックコンデンサの開発を発表。現在一部のスマートフォンに搭載されている0402サイズ(0.4×0.2mm)より体積比約75%ダウンを実現しており、こちらも高密度実装を支える超小型部品へのニーズに応えるものである。
近時、携帯端末については、スマートフォンやタブレット端末に対するアプリケーションの開発がメインとなっており、機器本体については一時期よりも注目度が低い。しかし、小型化や低消費電力化など、依然として技術は進歩しており、限界に達していないようである。端末のユーザーには実感しがたい分野かもしれないが、そこに集積された日本の技術には、もっとスポットライトがあたるべきなのではないだろうか。