2014年、今年も6月19日から22日、ドイツ・ニュルブルクリンクで「24時間耐久自動車レース」が開催される。以前、そのレースに参戦するトヨタの参戦概要について報告した。
ここでは参戦新型車をお披露目した富士重工業のニュースから。富士重とモータースポーツを統括するスバルテクニカ・インターナショナル(STI)が発表したクルマは、デトロイトで開催された「北米国際自動車ショー」でワールドプレミアされた新型スバルWRX STIをレース仕様にチューンしたクルマだ。世界初公開を前にそのモデルのチューンアップ・レース仕様が先行して公開されたは、新年早々に開催された「東京オートサロン」だった。
富士重では、今年で7年連続して参戦する「ニュルブルクリンク24時間耐久自動車レース」で、この新型WRXで2リッターターボ・クラス(SP3T)にエントリーして3度目のクラス優勝を目指す。1月に紹介されたレースマシンがその参加車両だ。が、レース用エンジンなどのパワートレーンは乗っていない。おそらく300ps仕様の2リッター水平対向4気筒ターボの量産型エンジンが進化した試験用エンジンが入っていたはずだ。
何故なら、本番のレース用のエンジンは量産型と同じだが、2013年末に完成して、バックアップ用のもう1基とともに、東京・三鷹のSTI本社でベンチテストを繰り返し行なっている段階だからだ。十分な結果が得られたら、そのエンジンは丁寧に梱包してドイツに空輸、24時間レース直前に走行実験チームが鍛え抜いたシャシーに換装してレースに臨むという。
目標は当然ながらクラス優勝。この過程で得られた成果は、今後のSTIコンプリートモデルや数多くのパーツなどに還元する。これが、スバルとSTIの濃密な伝統である。チーム監督は富士重実験部で、理工学部出身の開発者を助手席に乗せてテストコースを走行して何度も泣かせたという、伝説の実験部チーフテスターだった辰巳英治さんだ。(編集担当:吉田恒)