アジア地区で東京モーターショーを凌ぐとさえ言われる北京モーターショーで、アウディが画期的なプラグイン・ハイブリッド車のコンセプトモデルを世界初公開した。
クーペのスポーティなスタイリングとスポーツ性、そこにSUVの多用途性を複合的に融合させた「AUDI TT Off Road Concept」である。アウディTTは言わずと知れたアウディのコンパクト・クーペで、このコンセプトモデルは、アウディTTのスポーツする遺伝子とQ3に通じるコンパクトSUVの力強さを持ったクルマだ。「将来のAUDI TTを標榜したプロトタイプ」とはアウディ広報のアナウンスメントだ。
コンセプトの発表の場として北京を選択したのは、中国がアウディにとって欧州に次ぐ第二の市場だからだ。この地の環境汚染、なかでもクルマの排ガスによるPM2.5などの大気汚染は国際的にも容認できる領域を超えている。中国では電気自動車(EV)とプラグイン・ハイブリッド車(PHV)に、高額な補助金(PHV購入者には3万3250元/約55万円)を支給して環境汚染を抑えていることを世界にアピールしている。が、補助金の実効性は上がっていない。今回、アウディが中国の都市部・高額所得者を狙って、今回「AUDI TT Off Road Concept」を公開したのは明らかだ。
プラグイン・ハイブリッド・システムを搭載した「AUDI TT Off Road Concept」は、2リッターTFSI直噴ターボエンジンを搭載し、エンジンの出力&トルクは292hp(215kw)と38.8kg.m(380Nm)を発揮する。これにクラッチを介して繋がっているアシストモーターは40kWと220Nmを発生。この組み合わせはフロントホイールを駆動する。コンセプトモデルには別途リアアクスルに85kW/270Nmのモーターが設置させ後輪を駆動する。これでクアトロドライブの成立だ。
結果、システム全体で408hp(300kW)/66.3kg.m(650Nm)発生。メーカー公表値で0-100km/h加速を5.2秒で達成。燃費も1.9リッター/100km(52.63km/リッター)の燃費を実現するという。CO2排出量は、僅かに45g/kmとなっている。
駆動用バッテリーはリアアクスル直前に8ユニットのリチウムイオン電池が配され、この電力だけで50kmの連続EV走行が可能だ。なお、充電はワイヤレスで行なうことができるシステムだ。
最後に「AUDI TT Off Road Concept」のボディ寸法を紹介する。全長×全高×全幅4390×1850×1530mm、ホイールベースは2630mm。ほぼ、同社のQ3と同じだが、全高だけが80mmほど低められてクーペ・ライクなシルエットとなっている。(編集担当:吉田恒)