メイド・イン・ジャパンの製品は海外でも評価が高く、安心・安全ブランド扱いされている。中でも最近人気を集めているのは日本産の食品で、海外ではブームも起きている。農林水産省はこれをチャンスに、「食市場」をグローバルな視点でとらえ、世界の料理界でもっとたくさんの日本食材が使われることを推進していく考えだ。日本食を産業として考えながら、日本産品の輸出拡大を図っていき、2020年には現在のおよそ2倍の、1兆円規模の輸出額を目標に据えている。
官民一体となって事業に取り組む姿勢の農林水産省と連携し、日本産品の海外輸出を進めているのは日本貿易振興機構(ジェトロ)だ。ジェトロは日本企業の海外展開を支援し、機械工業や環境エネルギー、食品やサービスなど、多岐にわたる産業の後押しをしている。海外からバイヤーを招いて、各地で商談会を実施したりするなど、日本の商品の魅力を海外に伝えて、企業の海外展開をサポートする立場にある。
そのジェトロが近年特に力を入れているのが食品分野で、12年には「農林水産・食品輸出促進本部」を発足させた。そして13年には、一県につきひとつの県産品を支援するというプログラムを立ち上げ、全国各地から集めたという。今年6月、ジェトロは、その中から、特に重点的に海外輸出の支援を行う品目10点を選び、「加速的重点プログラム」として資金面で支えていく方針を発表した。具体的な成果が早期に期待でき、経済的効果の大きいものとして選出されたのは、北海道のホタテ、新潟県のニシキゴイ、兵庫県の丹波黒豆、香川県の盆栽などだ。
ニシキゴイや盆栽とは意外に思うかもしれないが、食品関連の動きに伴い、日本文化を象徴する特産物にも注目が集まっている。盆栽について言えば、既に10年度からジェトロは香川県に対し支援を行ってきた。13年にはフランスやイタリアのバイヤーを招いた商談会で、29件もの成約を実現させており、盆栽の生産者も海外からの需要の高まりを肌で感じているようだ。さらなる盆栽の市場開拓を進めるために、新たにチェコやベトナムでの販売も検討されている。眠っている地域の特産品を掘り起こし、海外の需要と合致させていくことで、地域産業の活性化にも繋がっていくだろう。(編集担当:久保田雄城)