堅調なスポーツウェア市場、ライバルは非スポーツブランド

2012年12月21日 08:53

 2007年の第1回東京マラソンが火を付けたマラソンブーム。笹川スポーツ財団の調査によるとジョギング・マラソン推計人口は、東京マラソン開催前の2006年の606万人から2012年は1009万人へと増加しており、終息すると見られた勢いは依然として衰えていない。こうした中、矢野経済研究所が国内スポーツアパレル市場の調査を実施、発表した。

 同調査によると2012年のトレーニングウエア国内出荷市場規模は、前年比103.8%の1212億円の見込み。さらに、2012年の機能性アンダーウエア国内出荷市場規模は、前年比102.9%の336億5000万円の見込みとなっている。特にコンプレッション・サポート系アンダーウエアは、ここ数年ブームが続いているランニングやアウトドア人気に後押しされ、関節や筋肉をサポートするタイプのタイツが市場の成長に寄与しているという。

 スポーツメーカー大手のミズノは、2013年3月期の第2四半期決算では、ランニングシューズの販売が堅調であり、全体の売上も前年同期比4.2%と増加している。前年比同期比33億円増のうち、14億円がランニングを始めとするシューズの売上である。またアシックスも、同様に前年同期比2.2%増と、ランニングブームがスポーツ用品市場を押し上げている。しかし、ミズノの営業利益は前年同期比31.6%減、アシックスは同0.9%と、両社とも利益には繋がっていない。2012年はロンドンオリンピックもあり、積極的な露出を実施したスポーツ用品メーカーが多かったことが、利益を圧迫した要因となっているようである。各スポーツ用品メーカーがこうした傾向にどういった施策で挑むのか、注目が集まるところであろう。

 アウトドアウェアが前年比109.7%、サッカー・フットサルウェアが同108.7%と予想されるなど、堅調な市場と見られているスポーツアパレル市場。しかし、テニスウェア市場において、非テニスブランドやカジュアルブランドを着用してのプレーが定着しているなど、価格低下やブランド力の低下が懸念される。(編集担当:井畑学)