シャープ、伊エネルとの合弁解消。保有株売却

2014年07月14日 08:17

 現在、経営再建中のシャープ<6753>は、2010年7月にヨーロッパで再生可能エネルギーの発電事業を手掛けるイタリアの電力大手エネル・グリーン・パワー(EGP)などと太陽電池工場を運営する合弁会社「3Sun」を設立したが、太陽電池の値下がりなどを受けて11日、同工場の生産する太陽電池の義務的な引き受けを中止するとの発表を行った。これに伴い、同時期にエネルと共同で設立した太陽光事業合弁会社「ESSE」の合弁が解消され、保有する「ESSE」の株式をすべてエネルに売却する。売却金額は明らかにされていない。

 10年7月、シャープは、シャープ、エネル、STマイクロエレクトロニクスの3社共同で太陽電池工場を運営する合弁会社「3Sun」を設立し、生産された電池を引き取る契約を結んでいたが、今回これを解消。契約解消に伴い14年4~6月期連結決算で143億円の特別損失を計上する予定で、最終損益は赤字となる見込みだ。

 この「3Sun」の太陽電池工場が生産した製品については、シャープとエネルが引き受けるという長期契約が結ばれており、ヨーロッパや中東、アフリカなどに販売する計画だったが、しかし太陽電池の値下がりなどを受けて、これ以上の引き受けは困難と判断し、長期契約を解消することとなった。

 解約解消に伴いシャープはエネルに対価を支払わなければならず、その一部として「ESSE」の合弁を解消、50%の株式をエネルに譲渡することとなった。これにより、シャープは事実上ヨーロッパでの太陽光発電事業から撤退することとなった。しかし「ESSE」の合弁は解消されるものの、「3Sun」についての合弁関係は継続されるため、イタリアでの太陽電池生産は継続される。
 
 「3Sun」の工場が生産する太陽電池は15日以降すべて、エネルが引き受けることとなる。株式は取得時よりも安く譲渡されるため、その差額分が損失となる。

 今回の引き受け中止に伴う特別損失は、14年4~6月期に計上される。しかし収益改善が見込まれることから、15年3月期の業績予想については修正を行わないとしている。(編集担当:滝川幸平)