国内携帯電話・スマートフォン市場規模にみる今後の市場動向と課題とは

2014年07月05日 13:31

 6月30日、IDC Japanより2014年第1四半期・国内携帯電話スマートフォン市場規模が発表された。この調査は、2014年1月から3月期の国内携帯電話・スマートフォンの出荷台数を元に分析したもの。総出荷台数は、4.4%減の914万台(前年同時期比)。前年第4四半期と比較しても約90万台減のマイナス成長としている。

 理由としては、iPhoneの販売数は好調だったものの、Android端末の不振が影響し、通信事業者が在庫調整をおこなったためと同社では見ている。「総務省の指導により通信事業者の販売奨励金戦略が大幅に見直されたことから市況が一変。販売台数も減少傾向にある。今後も市場全体が前年同期比ベースでマイナス成長が続く可能性が高い」と同社、シニアマーケットアナリストの木村融人氏はコメントしている。

 携帯電話出荷台数におけるベンダー別シェアをみると、アップルが48.0%を獲得し、6四半期連続で首位の座を維持している。また、上位トップ3では、「AQUOSシリーズ」のシャープが第2位、スマートフォンと従来型携帯電話を出荷している京セラが第3位となっている。ここで注目したいのは、iPhoneの登場で市場が急激に変化したあと微増ではあるが従来型携帯電話への回帰である。

 実際に携帯電話・スマートフォンの使用を思い浮かべていただきたい。情報収集やメールといったウェブ接続を介するものは確かにウェアラブルであるスマートフォンはPCの代わり以上に利便性がある。一方、通話というコミュニケーションを考えた場合、スマートフォンでは話しづらいといったこともよく耳にする。確かにオールインワンのスマートフォンで事足りるかもしれないが、筆者も含めて、現在では2台持ちのユーザーが多いことも事実である。

 従来型携帯電話の販売台数が増えているという事象ひとつを取ってみても、当初、その珍しさやオールインワンという利便性からスマートフォンに流れたユーザーが、通話ということを再度認識し始めているのではないだろうか。携帯電話のキラーコンテンツは、通話とメールである。この両方の機能がスマートフォンひとつでユーザーに利便性の高い仕様になるためには今しばらく時間がかかるだろう。その意味では、短期的ではあるが従来型携帯電話への回帰もしくは2台目の端末として、今後も需要は出てくるのではないだろうか。(編集担当:久保田雄城)