新型オープンスポーツ「ホンダS660」人気沸騰。発売前に納車3カ月超待ち

2015年03月31日 07:46

S660

新型S660αのリアセクションも魅力的な造形だ

 2013年11月の東京モーターショーでプロトタイプが発表され、話題となったホンダの軽オープン2シータースポーツが遂に正式に市販される。発売は4月2日。同時に発売記念車として660台の特別限定車もリリースする。

 もう既にお分かりだと思うが、そのエクステリアデザインはプロトタイプとほとんど同じ。軽自動車の枠のなかに収めながらミッドシップスポーツらしいカチッとした“塊感”があり、なかなかお洒落なインテリアデザインも秀逸だ。ボディサイズは全長×全幅×全高3395×1475×1180mm、ホイールベースは、2285mm。見た目の印象は、とにかく低くて小さい。日本の軽自動車枠に収めたこともあるが、全高がとにかく低いのだ。

 小さなクルマだが空力特性を意識したスタイリングであり、水平を基調にしたデザインということもあって、さらに低く地を這うように見える。ピラーから上がブラックアウトしたデザインも車高を低く見せる。タイヤが四隅に配し、前後オーバーハングが非常に短く低く踏ん張った印象を強調する。

 搭載するエンジンは基本的にNシリーズと共通の直列3気筒DOHCターボだが、新設計のターボチャージャーを備えることで高い応答性を手に入れたという。高回転型のバルブスプリングや、コーナリング時に発生する高いGに対応できる油圧システムなどのチューニングを行った。結果としての最高出力64ps/6000rpm、10.6kg.m/2600rpmというアウトプットは普通だ。が、このFF用だったユニットをドライバーズシートの真後ろにミッドシップマウントして後輪を駆動する本格的なレイアウトとなった。組み合わせるトランスミッションは6速マニュアル(MT)と7速マニュアルモード付きCVTだ。足下を支えるタイヤは前後異径で、前165/55R15、後195/45R16を装着する。ブランドはヨコハマADVAN NEOVA AD08Rである。

 マニュアル車のエンジンは、アクセルオフの際にターボのブローオフからバイパスしたエアの音を強調するデバイスを搭載し、エンジンや排気系の音をチューンしてシフトチェンジ時の歯切れの良さを演出する。

 このパワーユニットに対してS660の車重は830kg(CVT車は850kg)ほどである。そのためパワーウエイトレシオではN-ONEあたりから劇的に良化している訳ではない。つまり加速感向上は期待できそうにない。が、特別なチューニングによって6MTと組み合わせるエンジンのレブリミットは7700rpm(CVTモデルは7000rom)なので、レスポンスのいいユニットの性格と適切なギアを選んだドライビングでリズミカルな運転ができるという。一方のCVT車にはパドルシフトが備わり、積極的なシフト操作でスポーツドライビングできる。

 これらパワートレーンを支えるシャシーのサスペンション形式は前後ともにサスペンションストロークが得られるストラット式を採用。ミッドシップエンジン・リアドライブレイアウトの採用により、最適な前後重量配分45:55を実現し、慣性モーメントの最小化とトラクション性能の向上を図った。また、ESP(エレクトロニック・スタビリティ・プログラム)を応用した軽自動車としては初の電子制御システム「アジャイルハンドリングアシスト」を採用。車体の動きに応じたコントロールにブレーキ制御を活用し、コーナリング時に狙ったラインをトレースしやすく、少ないステアリング操作でスムーズな車両挙動を実現した。

 価格は、ベーシックな装備のβが198.0万円、上級装備のαが218.0万円。特別限定車は238.0万円である。発表後にホンダ広報から「S660の納期について」とするメールが届き、S660は相当な人気らしく「本日(2015年3月30日)発表致しました、S660につきまして、多くのお客様よりご注文をいただいており、今後ご注文いただくお客様の納期に多大な時間を要する見込みです。ご購入をご検討されていらっしゃいますお客様にはご迷惑をおかけすることを、心よりお詫び申し上げます」とのこと。事前予約に応えるのがやっとと言うことのようだ。(編集担当:吉田恒)