学生のSNS利用、炎上は「あくまで自己責任」?

2013年01月16日 07:45

  大学生にとって、SNSは欠かすことのできないコミュニケーションツールとなっている。東京工芸大の調査 によれば、大学生の74.5%が何らかのSNSを利用しており、もっとも利用率が高いのはTwitterで60.2%。以下、mixiが55.4%、Facebookが45.9%と続く。

  一方、昨年は大学生が有名人や見知らぬ人の行動をネットに投稿し、「炎上」する事件がいくつも起きた。サッカー選手の私的な発言をTwitterで「実況」したり、電車内で見知らぬお年寄りを盗撮して投稿したり。投稿された画像は2ちゃんねるなどの匿名掲示板に転載され、多数の匿名ユーザーによる「報復」として、投稿者のプロフィールや個人的な写真が晒された。

  ネットでは本音が露わになりやすい。上述の調査では、ソーシャルメディアを利用する大学生の8割が「ソーシャルメディア毎に本音と建前を使い分けることがある」と回答。「本音をさらせるソーシャルメディア」は圧倒的にTwitter(45.4%)だった。比較的、匿名性の高いTwitterでは本音が出やすいとみられる。友人受けするような面白おかしい写真や、少々荒っぽい本音を投稿する学生もいるだろう。 

  しかしそうした投稿が、ネット上で「報復」に遭う危険性は高い。さまざまな「本音」がぶつかり合うネット空間は、ときに現実以上の「リアル」になる。

  関西学院大は昨年、「ソーシャルメディア利用についての注意喚起」と題したガイドラインを策定。本文には「(オンラインでのコミュニケーションは)関西学院大学の学生として品位ある態度を取り、あくまで自己責任で行ってください」とある。大学側も、学生の投稿によってブランドを傷つけられるリスクに敏感になっているのだろう。

  対照的に、聖心女子大のガイドライン には学生を「守る」姿勢がみえる。「よく考えてから投稿する」「発信内容は、将来まで影響する」などの文言は、米国の大学を参考に作られたものだ。

  匿名であれ実名であれ、ネットでの炎上は「他者」との関わりの中で起きる。学生に自覚が求められるのは当然だが、大学側もこの問題を「自己責任」の一言で片付けることはできないだろう。