住友理工は、6月5日~7日に東京・丸の内の東京国際フォーラムで開催した「第50回日本理学療法学術大会」で、九州大学と共同開発してきた「歩行アシストスーツ」の最新改良バージョンを公開した。
高齢者や事故療養などにより脚力が低下した人たちの歩行訓練を支援する目的として開発している「Walking Assist Suit」。腰に装着したウエストポーチのような形状の装置に内蔵したモーターから膝にかけて柔軟性のあるアシストベルトを配し、モーターの駆動力で下肢を牽引することで脚の振り出しをアシストする仕組みだ。
試着してそのアシスト機能を試すと、「初めて電動アシスト自転車に乗った時のような感動」を覚えるほど、じつに軽々と足が運べる。
腰に装着するベルトには前面に2個のモーターと左右独立制御回路および駆動システム、そして背中に電池が収まる。角度センサーと駆動システムがアシストベルトで結ばれ、歩行を支援するというわけだ。装置全体の重量はおよそ1kg。手で持つとそれなりの重量を感じるのだが、装着すると重さはほとんど感じない。フル充電で2時間程度の歩行訓練が可能となる。
角度センサーを用いることで、足の振り出しなどをより細かく検出し、最適な歩行タイミングでアシスト力を発揮できるという。これにより歩幅を広げるように歩行させることが可能となり、バランス感覚と関節の柔軟性を取り戻すように働きかけ、若々しい歩行を取り戻すとしている。柔軟かつ軽量な素材で構成されており、着衣の下にも装着できる。今後は生活シーンに合わせた活用方法を提案する。
なお、公開した歩行アシストスーツの開発は、科学技術振興機構(JST)の「研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)」にも採択されている。今後は、まず九州地区で検証実験をスタートさせて、実用化を図るという。(編集担当:吉田恒)