大分県臼杵市で認知症患者を見守る徘徊検知ソリューションの実証研究開始

2015年10月11日 13:42

 臼杵市と臼杵ケーブルネット、ソフトバンクグループのWireless City Planningは、地域無線サービス普及促進検討会での公共サービス検討ワーキンググループの一環として、高齢者の認知症対策を目的に、11月から大分県臼杵市にて、近距離無線通信技術の一つであるiBeaconを利用した徘徊検知ソリューションの実証研究を開始する。実施期間は2015年11月~2016年3月の予定。

 臼杵市では2025年には高齢化率が40%を超えると予測しており、今後ますます進んでいく少子高齢化社会に必要となる見守りプラットフォームの構築を目指して実証研究に取り組んでいる。急速に進む少子高齢化を見据えて、高齢者が生涯にわたって地域で安心して生活でき、健康で生き生きと暮らせるよう、臼杵市民をはじめ、保険・医療・福祉などの関係機関・団体と連携してさまざまな高齢者対策事業を進めてきたという。

 認知症高齢者の徘徊による問題がクローズアップされ顕在化するに当たり、 1月から臼杵ケーブルネットとWireless City Planningと共同で、iBeacon端末およびiBeacon端末を検知する受信センサーの技術検証を進め、11月より臼杵市民にも参加してもらい、実証研究を実施することとなった。

 今回の実証研究では、徘徊者の直近の位置情報や日常の行動履歴が、行方が分からなくなった場合の捜索に役立つかなど、記録された位置情報などの有用性や家族・関係者への注意喚起の効果について検証を行う。

 具体的には、臼杵市内の交差点や公民館を含む公共施設など、高齢者の生活動線を考慮したエリアのほか、橋や駅などの普段の動線にはない非日常エリアを加えた計100カ所に受信センサーを設置。実証研究協力者にはキーホルダー型のiBeacon端末(200個)を貸与し、常時携帯してもらう。受信センサーがiBeacon端末を検知すると、検知した場所と時間が端末情報にひも付いて記録され、併せてその情報をあらかじめ指定した家族や関係者へ、メールで連絡する。

 実証研究協力者には、受信センサーに記録された過去のデータ(日時・場所)を提供し、一部の協力者には、実際の捜索を支援するスマートフォン用アプリケーションの利用権限を提供する。将来的には、このソリューション基盤を使用した児童見守りなど、他の活用方法についても検討していく方針だ。

 また、今回の実証研究に使用するアプリケーションで実現する次の機能についても検証する。(1)使用者自身の位置情報および指定した捜索対象者の直近検知情報を地図上に表記する。(2)iBeacon端末を検知するセンサー機能も搭載されており、直接捜索対象者を検知して電波強度からおおよその距離を表示する。(編集担当:慶尾六郎)