これまでに1兆円以上税金が投入され、さらに、動きもしないものに『毎日5480万円』、年間200億円の税金の投入が必要となる高速増殖炉『もんじゅ』(福井県)。
野党からは『廃炉しかない』と廃炉を求める声が高まっている。今後どうするのか。結論の先送りは絶対に許されない。来夏の参院選挙までに政府・与党は「明確な答えを」示すべき。
その答えと連動することになるが、もんじゅの現在の運営主体「日本原子力研究開発機構」が運営主体としては不適当との判断で、原子力規制委員会(田中俊一委員長)は新たな運営主体を見つけるよう、馳浩文部科学大臣に異例の「勧告」を行った。勧告に対する回答は半年以内に期限を区切っている。
運営主体が半年以内に見つからなければ、廃炉を含め、抜本的見直しを原子力規制委員会は文部科学大臣に迫ることになる。
もんじゅは国の核燃料サイクル政策の中核施設に位置付けられている。半年の期限の中で、核燃料サイクルの在り方を含めた大きな課題に答えを出さなければならない。
一方、核燃料の再処理を「やめる」選択が容易かどうか。菅直人元総理が今月5日のブログに書き込んだ内容に興味深い部分がある。「現在使用済み核燃料は再処理せず直接処分するのが世界の趨勢」とし「民主党政権時にそのことを検討した」としている。
菅元総理は「その時、青森県と自民党政府の間で過去に交わされた契約書が問題となった。再処理をしないのなら青森県が再処理の『原料』として受け入れている『使用済み燃料』を直ちに青森県の外に出すという約束があり」この問題にどう対応するのか、これをクリアすることが必要になる。
菅元総理は「青森県は『核燃料サイクルの燃料』としてなら引き受けるが、『核廃棄物』としてなら引き受けないという意味だ」とし、「自民党政権下での約束が存在したために再処理をやめるといった政策を直ちに進めることができなかった」と振り返っている。この状況に今も変わりはない。
「もんじゅ」が税金喰いのお荷物でしかない状況を踏まえ、核燃料政策全体の見直しを決断するとすれば、政府・与党の勇気ある決断が必要だ。ただ、幸いにも、閣僚に、もんじゅ問題に精通する河野太郎行政改革担当大臣がいる。文部科学大臣、経産大臣、関係閣僚での「もんじゅ問題閣僚会議」を設け、半年の間に結論が出せる濃密な議論を是非期待したい。(編集担当:森高龍二)