厚生労働省が公表した15年10月の有効求人倍率は1.24倍で、前月と同水準だった。有効求人(季節調整値)は前月に比べ0.3%増で、前月に比べ0.3%改善。新規求人数も前年同月5.4%増えている。求人数が増えるなか、転職市場も活況だ。
インテリジェンスが運営する転職サービス「DODA(デューダ)」が、15年4月~9月にDODAに登録した転職希望者のうち約4万人を対象に理由を尋ねたところ、1位は「ほかにやりたい仕事がある」(12.2%)、2位が「会社の将来性が不安」(9.2%)、3位が「給与に不満がある」(7.7%)だった。
2位の「会社の将来性が不安」の回答割合が前回より0.3ポイント下がった一方、9位の「業界の先行きが不安」の割合は0.4ポイント上がっており、「会社に対する不安は減少したが、業界に対する不安は増す」一見矛盾した結果となっている。DODA編集部は、これを「好調な景況感を追い風に企業の経営は順調であるものの、長期視点で業界の変化を想定し、成長産業に移ろうと転職活動に踏み切った人が増えた」と解説。3位の「給与に不満がある」や4位の「残業が多い/休日が少ない」(6.3%)、7位の「U・Iターンしたい」(3.2%)など、待遇や就業環境の改善を理由とした転職の割合も上昇していることから、売り手市場を背景に「今よりもっと良い会社があれば転職したい」と考えて転職活動を始めた人が増えているようだ。
業種別にみたところ、1位が「ほかにやりたい仕事がある」となったのは8業種中、7職種。前回より1職種増え、「メーカー」のみが「会社の将来に対する不安」が1位との結果になった。多くの人が「やりたい仕事」を軸に転職活動をするなか、メーカーだけが長らく「会社の将来性」への不安を理由とする人が多い。メーカーの2位以下は「ほかにやりたい仕事がある」「給与に不満がある」だった。
特筆すべきは「メディア」を除く7業種で「残業が多い/休日が少ない」の回答割合が上昇したことだ。業績が好調な企業が増えたことで、一部の企業では従業員の業務過多が進み、待遇改善を目指した転職が増えたのかもしれない。人材市場の活況は続きそうだ。(編集担当:北条かや)