日産の新世代V型6気筒ツインターボエンジン、まずはスカイライン・クーペに搭載か

2015年12月26日 19:26

Nissan VR30

日産の新世代V6エンジン、1994年から日産車の上級車に搭載されてきたVQ型エンジンに代わる小型・軽量なエンジンだ

 日産自動車は16日、コンパクトで軽量の3リッターV6ターボエンジンを新たに開発し、2016年より一部のインフィニティモデルに搭載すると発表した。このエンジンは、日産のVQ型エンジンの後継で、日産V6パワートレインのDNAを引き継ぎ、ドライバビリティ、効率性、パフォーマンスを理想的なバランスで実現しているという。2016年1月に開催する米デトロイトショーで公開する。

 新型V6エンジンは、VR30型とされ、日産日産の公式資料では、最大出力300hpと400hpの2タイプをラインアップする3リッターV6ツインターボエンジンだ。2016年よりインフィニティQ50(日本名スカイライン・クーペ)モデルに搭載して発表するもよう。ふたつのエンジンは同じ技術を用い、ドライバーのインプットに瞬時に反応する、力強い運転感覚を提供する。この新型3リッターV6ツインターボエンジンには、クラストップの出力と効率性を実現する新技術が盛り込まれ、燃費の最適化圧倒的な出力&トルクを生み出している。

 300hpエンジンは最高出力300hp(224kW/304ps)/6400rpm、最大トルク400Nm(40.8kg.m)/1600-5200rpm。さらに高出力の400hpエンジンは最高出力400hp(298kW/405ps)/6400rpm、最大トルク475Nm(48.4kg.m)/1600-5200rpmで、高負荷時に効果的に熱管理を行うためのインタークーラー用ポンプを2個搭載する。

 同エンジンで採用した主な新技術は以下の通り。まず、スロットルのスピードを向上させた新型モーターをバルブタイミングシステムに組み込み、レスポンスを向上させるアドバンスタイミングコントロール。新型ツインターボシステムは、タービンブレードのデザインを最適化し、新型のタービンスピードセンサー、インタークーラーシステム、電動アクチュエーターを採用。パフォーマンスとレスポンス、そして燃費を向上させた。

 軽量化と効率性の向上にも抜かりは無い。新型エンジンのコア構造の重量は194.8kgで、従来エンジンより14.1kg軽量化した。新しいターボチャージャーと先進的なインタークーラー(CAC)システム採用による加重は僅か25.8kgで、エンジン全体の重量は220.6kgとなる。また、新型エンジンは、スカイラインが搭載する従来型V6エンジン「VQ37VHR型」と比較し、エンジン排気量が19%(約0.7リッター)減少している。

 新型V6エンジンは、インフィニティが搭載するV6エンジンの中で、最もクリーンで効率的なエンジンだとも。最新型のバルブタイミングコントロールは、燃焼室における空気量をより正確に調整するとともに、従来のV6エンジンと比較し機械的な摩擦を40%軽減して、より滑らかなピストンの動きを実現したという。

 新型3.0リッターV6ツインターボエンジンの最も重要な特徴のひとつが、新しい一体型エキゾーストマニホールドの採用だ。シリンダーヘッドと一体化することで、触媒コンバーターをエキゾーストポイントにより近い位置に置き、高温の排気の通り道が短くなったことで、触媒コンバーターを従来エンジンよりも2倍速く加熱することができ、エンジン始動から発生する排気も減少させることに成功した。

 新しいアルミエンジンブロックは、シリンダーボアとストロークが同じ(86.0×86.0mm)スクエア型エンジンとなった。今後、この新エンジンは、これまでVQ型エンジンを搭載してきたフーガやフェアレディなど日産の上級車種に、モデルチェンジのタイミングで換装されるはずだ。新エンジンの生産は、従来VQ型エンジンを生産した「福島・いわき工場」が行なう。(編集担当:吉田恒)