拡大する宅配水市場にキリンビバレッジも参戦

2013年01月24日 09:06

  安全・安心意識の高まりにより、2011年は前年比116%と伸張し、2012年も前年比100%で着地したと予測されているミネラルウォーター市場。このミネラルウォーター市場のうち、約25%を宅配市場が占めており、ミネラルウォーター宅配市場は2008年から2011年にかけて約2.5倍に拡大しているという。

  こうした状況を受け、かつては専門業者が中心であった宅配水市場に対し、大手飲料メーカーも注力。昨年には、サントリーホールディングスの子会社であるサントリー食品インターナショナルが家庭用宅配事業を強化すべく、サントリーフーズと東芝ホームアプライアンスと共同で新ウォーターサーバーを開発するといった力の入れようである。

  そうした中、キリンビバレッジ<2503>が、富士山の銘水と業務提携し、ミネラルウォーター宅配市場に参入すると発表した。採水地は上流に工場や農地がなく、手つかずの自然が残る富士箱根伊豆国立公園内の地下273mの水脈。バナジウムを8.5μg(100ml当たり)含む軟水で、軽量で交換やリサイクルが簡便な7.15Lパックに詰めて宅配するとのこと。またサーバーには、日々簡単に手入れができる様、オートクリーン機能を装備。部屋やインテリアに合わせて3つのカラーと2つのサイズ、計6種類から選べるという。なお、ウォーターサーバーレンタル料、配送料、メンテナンス料はすべて無料となっている。

  東京都内の水道水からも放射性物質が検出されたことで一気に火のついた宅配水市場。東京都健康安全研究センターのデータによると、2011年7月2日以降水道水から放射能は検出されていないが、市場の拡大を続けている。一方で、ウォーターサーバーに関する重大製品事故も多く発生。消費者庁からは15件の重大事故が発表されており、その多くが火災となっている。さらに、サーバーのコックが外れて噴出した熱湯にかかり重度の熱傷を負ったケースや、幼児が火傷を負ったケースも散見される。安全・安心を求めて導入したサーバーであるにも関わらず重大事故が発生しては本末転倒である。原因は利用方法にもあるであろうが、水だけでなくサーバーにも安心・安全を追求した製品が広く普及することを期待したい。(編集担当:井畑学)