景気動向も視野に入れた低金利時代の住宅購入

2013年01月27日 07:44

  24日に決定した2013年度の与党税制改正大綱において、住宅ローン減税が現行制度の期限である13年末から4年間延長することも決まり、今後住宅市場も活性化しそうな気配だ。その一方では、来年4月に消費税増税を控えており、それが消費者達の様々な物の購入への動機付けになることも想定できる。その中でも住宅や車などの高額商品は今年購入を考えている消費者が多いようだ。

  旭化成ホームズが行った、全国30歳以上の既婚者を対象としたアンケート調査によると、「消費税増税前に買っておきたい商品やサービス」の1位は“住宅”、2位が“車”、3位は“白物家電”という結果だった。

  今は正に住宅ローン低金利時代。民間の金融機関がこぞって“低金利”をうたい、また昨年12月に「ゆうちょ銀行」が住宅ローン業務に参入することを、郵政民営化委員会が条件付きで容認し、今年4月からの開始を視野に動きだしたことで、さらに競争が激化する可能性も出てきた。

  一方では、12月から続く円安傾向なども頭に入れておかなければならない。景気が回復傾向になれば、当然金利は上がることを想定しなければならないからだ。政権交代後の政策により、金利が影響を受けることも十分あり得るのだ。だが、住宅ローンの金利は現在、最低水準であることは間違いなく、“住まい購入”の時期としてはこの低金利が後押しをしてくれているので、タイミングとしては悪くないと言える。

  「フラット35S」で住宅ローン市場を引っ張る「住宅金融支援機構」にも乱立する低金利商品について聞いてみた。

  「ローン商品も多種多様な時代に入り、競争も激しくなっているが、長い間支払いを続けていかなければならないのが住宅ローン。それぞれに人生のプランがあり、例えば、今が2人きりの若い夫婦だとしても、やがて子どもを育てれば教育費用がかかり、さらに老後の資金も必要になる。自分の人生設計に必要なプランニングを住宅ローンでも選択する必要がある」(住宅金融支援機構埼玉センター副センター長)。さらに、政権が交代し、消費税増税を来年に控え、住宅ローン申し込み状況に影響を感じるかという質問に対しては、「今のところ、大きな変化はない。他の関連機関・金融機関同様、様子を見ている」(同副センター長)とした。

  では、実際今の低金利で住宅を購入すると一体どれくらい毎月の返済額が必要になるのだろうか。首都圏への通勤者も多く住む、神奈川県や埼玉県、千葉県などで新築戸建の住宅を購入した想定でシミュレートしてみた。

  購入物件は、想定年収750万円で4500万円の物件を購入した場合と、想定年収450万円で2500万円の物件を購入した場合の2つで比較した。ともに35歳で自己資金を物件の10%とし、住宅ローンの金利は3年までが1%台後半(約1.8%)で、その後2.5%に変動し35年で完済するタイプで算出した。結果は、4500万円の物件は当初の毎月支払額が約13万円、2500万円の物件は当初の毎月支払額が約7万2000円という金額だった。

  自己資金や金利の違いによって当然支払い額は変わってくるので一概には言えないが、

  最も購入層の多いゾーンであると思われる2000万円~3000万円台の物件で、なかでも比較的低価格販売を実現している「タマホーム」や「アキュラホーム」などのハウスメーカーは、このシュミレートに近い事例のものや、さらに低価格の1000万円台の物件も多い。

  住宅購入にかかる消費税は、原則として来年の3月いっぱいまでの引き渡しであれば、5%のままだが、救済措置として今年の9月末までに契約完了すれば、来年4月以降の引き渡しでも新税率は適用されない。

  消費税に関する部分は期限が決められており、判断材料としては分かりやすいが、住宅ローンの金利に関しては、景気や長期金利の動向も注視しておかなければならない。新築戸建や新築マンションをこの時期になるべく安く購入するには、ベストのタイミングを見極めるために、景気動向を気にしつつ、今年の9月までに契約を完了させなくてはならないということになる。(編集担当:加藤隆文)