丸紅が、フィリピン大手建設会社D.M.Consunji Inc.(DMCI)とのコンソーシアムが、マニラ首都圏北部に全長約23km、14駅及び車両基地から成る高架式鉄道システム一式、及びバスターミナル建設事業を受注したと発表。契約金額は約800億円で、工期は着工より42ヶ月、全線開通は2016年6月頃を予定している。
建設計画の実施機関はMRT7号線事業の為に設立された特別目的会社で、フィリピン政府より、この鉄道システム一式及びバスターミナルに関する25年間の建設・運営・保守の事業権を取得している。 MRT7号線は、既存線である1号線と3号線が乗り入れる北端駅より更に北部に位置するサンホセデルモンテ駅(ブカラン州)までの14駅、23kmを結ぶもの。開業後は北部に建設が予定されている住宅地・商業施設からマニラ首都圏へのアクセス利便性が格段に高まることになるという。
丸紅はコンソーシアムリーダーとして、MRT7号線建設プロジェクトのマネジメントおよび鉄道システム一式(車両108両、信号、通信、自動改札、変配電、車両保守設備)の設計・製造・据付・試運転を担当。車両・車両電気品・信号の主要設備をそれぞれ総合車両製作所、東芝、日本信号より供給する。
世界的な環境重視、新興国の成長の中で、公共交通機関としての鉄道への関心が高まり、世界の各地において多くの鉄道プロジェクトが検討されている。その発注形態も、車両、信号等の単体だけでなく、運営・維持を含む鉄道システム全体を対象とするものが増加しているという。そうした中、昨年11月、東日本旅客鉄道や西日本旅客鉄道、東京地下鉄や日本貨物鉄道など9社が共同で、海外鉄道コンサルティング会社を設立するなど、鉄道インフラの輸出を積極的に推し進めようとしている日本であるが、世界的な景気低迷の中、思うように受注が進んでいない状況にある。真に鉄道インフラ輸出を活発化させるためには、フィリピンにおいてマニラLRT1号線増強案件やマニラMRT2号線建設案件(2004年開業)など、定期的に受注している丸紅に学ぶことは多いのではないだろうか。