2012年10月、リクルートキャリアが大学生1283人(回収率27.6%)と大学院生369人(回収率48.4%)を対象に実施した「大学生の就職内定状況調査」によると、回答者のうち、10月1日時点での大学生全体の就職志望率は、91.0%で、内、就職内定率は76.2%となっている。また、進路確定率は60.9%で、その内、就職先が確定した学生は、大学生全体の58.4%で、民間企業が54.7%であった。
また、内定や内々定の取得社数の平均は、大学生全体で1.85社。内、2社以上の内定、内々定を取得しているのは46.9%、10月1日時点での辞退率は45.9%に上る。就職難の世の中といわれてはいるものの、大学新卒者にはまだ、仕事を選ぶ余裕がないというわけではないようだ。
楽天<4755>が毎年恒例で行なっている「2013年度卒学生の就職人気企業ランキング」によると、ベスト3の結果は、1位「電通 <4324>」(昨年7位)、2位「伊藤忠商事 」(昨年1位)、3位「オリエンタルランド<4661>」(昨年6位)となっている。ちなみに、昨年の人気企業ベスト3は、「伊藤忠商事」が1位で、以下「三菱東京UFJ銀行<8306>」、「全日本空輸(ANA)<9202>」と続いている。
2012年卒業者の傾向では、堅実に安定した企業が人気で、安定した収入を求める傾向が強くでたため、大企業への就職希望が大半であった。今回も前年度同様「安定志向」に変わりはないが、結果から、いくつかの特色が見てとれる。それは、「国際的・グローバル展開」をしていることと、「企業独自の特色と好感度の高い企業方針」が注目されていることだ。どうやら安定だけでなく、自身の実力を発揮出来る場所を求めているという見方もできる。
それを顕著に表しているのが、昨年ランク外の企業が大きくランクアップしていることだ。例えば、通販で幅広く人気を集めている「千趣会<8165>」は、前年度は345位であったが、今年度は87位と大きく順位を上げている。そのほか、省エネ耐震構造をコンセプトにしている「一条工務店」は208位から90位に、マーケティングリサーチの「インテージ<4326>」が288位から99位に、子供服販売の「ミキハウス」は165位から55位とランクアップを果たしている。これらの企業は企業独自の特色と好感度の高い経営方針、そして、グローバル展開をしているところに共通点があり、人気が集まったと考えられる。
逆に、学生たちに最も倦厭された業種は、外食産業という結果だった。アルバイトなどの経験や体験も通して、「長時間勤務」「激務」というイメージが強いのが原因とみられる。
2012年の文科省の就職率調査によると、大学卒業者約55万人のうち、就職した学生が約35万人、就職率は約64%となっている。しかし実際は、希望する企業に就職できずに、派遣やパート、アルバイトなどの非正規雇用に一時的につく学生も少なくない。ここ数年では、新卒者の約2割、約13万人の学生が安定した職業に就いていないのが現状だ。わずかながら就職率が上向きの傾向にあるといわれているが、現実的には厳しさが伺える。(編集担当:海月零)