日本社会では高齢化が進み、2030年には高齢者が人口の3分の1に達するといわれている。一方で「自分の健康は自分で守る」という意識が高まっており、健康食品市場は益々成長していくものと考えられている。また、美容意識の向上に伴い、美容・アンチエイジング・エイジングケア素材についても、中高年層を含む幅広い世代の支持を受け、健康食品と同様に今後の需要拡大が期待されている。
富士経済の健康美容食品(H・Bフーズ)に関する国内市場調査のよると、2011年の市場は前年比0.7%減の1兆7744億円が見込まれている。しかし、同調査で機能志向食品とカテゴライズされている健康食品やサプリメントは前年比2%程度伸長しており、その要因としては、通信販売の拡大が挙げられているという。
伊藤園は公式通販サイトである「健康体」の中で、主力のドリンク以外に、話題のサプリメント「CoQ10」やカニやエビの殻に含まれるキチンを原料として作られた「N‐アセチル グルコサミン」、など、健康食品のラインナップを充実させている。ハウス食品は、通信販売限定の健康補助食品、ハウス「天然効果」シリーズとして、「潤粋ヒアルコラーゲン」を発売。同製品は多くのユーザーが不満を感じているコラーゲン製品特有の「におい」「味」「溶けにくさ」の低減に徹底的にこだわり、ハイグレードな素材、独自の顆粒加工技術により、これら不満の解消を実現した。さらに水産品に特化した食品会社である日本水産は、中性脂肪が気になる方向けの特定保健用食品「イマークS」(20本)を通信販売限定で発売している。
また、ダイドードリンコ<2590>は、12月1日より、通信販売事業を拡大し、「DyDoヘルスケア」シリーズにて健康食品を、「DyDoきれいバランス」シリーズにて美容食品の販売を開始する。市場拡大により数多くの健康食品や美容食品が販売される中、同社では全ての製品を、健康食品GMP認定工場(Good Manufacturing Practiceの略で、原料の受け入れから、製造、出荷まで全ての過程において、製品が安全に作られ、一定の品質が保たれるようにするための製造工程管理基準)で製造。通信販売事業の展開としてまずは5つの美容成分を1日6粒にギュッと凝縮した「DyDoきれいバランスコラーゲン プラスフルーツプラセンタ<健康補助食品>」をはじめとしたサプリメント10品目、「DyDoきれいバランスコラーゲン10000 プラスフルーツプラセンタ<清涼飲料水>」をはじめとする美容ドリンク1品目のラインアップでスタートし、今後、品目数を増やしながら本格的に健康食品、美容食品の提供を行うという。
「健康」「美容」というキーワードに関する食品の注目度は高い。同市場は消費マインドを高めるとして、今後も大手メーカーの事業拡大、他業種の新規参入も増加するものと考えられる。長引く不況などにより、消費マインドが低下する中、活況のマーケットが存在することは日本経済全体の起爆剤となるやもしれない。