15年の住宅リフォーム市場規模は前年比2.0%減の6兆4,851億円

2016年07月14日 08:27

 矢野経済研究所では国内の住宅リフォーム市場の調査を実施した。調査期間は2016年4月~6月、調査対象は住宅リフォーム関連事業者等。調査方法は同社専門研究員による直接面談、および文献調査を併用した。

 それによると、2015年の住宅リフォーム市場規模は、6兆4,851億円(前年比2.0%減)と微減であった。住宅リフォーム市場は、「10 m2超の増改築工事」・「10 m2以下の増改築工事」・「設備修繕・維持関連」・「家具・インテリア等」の4分野で構成され、「増改築に関わる費用(10m2超+10m2以下)」は前年比7.9%減の7,687億円、「設備修繕・維持関連費」が同1.1%減の4兆9,867億円、「家具・インテリア等」が同 1.4%減の7,297億円となった。

 2015年の同市場は、2014年4月に実施された消費増税前の駆け込み需要の反動減の影響が継続している一方、駆け込み需要前の2012年の市場規模を下回っていない点を考慮すると市場の底堅さとともに反動減の影響が緩和されつつあるという見方もできるとしている。

 2016年の住宅リフォーム市場規模は、6兆5,542億円(前年比 1.1%増)とほぼ横ばいに推移すると予測した。2016年の同市場は、2017年に実施予定であった二回目の消費増税前の駆け込み需要により市場規模が拡大し、2017年は駆け込み需要後の反動減による市場規模の縮小とみていたが、消費増税の延期により当該シナリオは先延ばしとなった。現状、住宅リフォーム市場にはプラス・マイナスの両面で大きな影響を与える要因はないものの、昨今の株価の乱高下や将来の景況への不透明感等を理由に、全体としてみるとここ数年見られた堅調な消費マインドもやや曲がり角に差しかかってきた感も否めず、前年並みで推移するものと予測した。

 2020年の市場規模は、7.3兆円(2015年比約12%増)と予測している。住宅リフォーム市場の主要分野である「設備修繕・維持関連」分野は住宅ストック数の増加に伴って需要が拡大し、住宅リフォーム市場全体も成長すると考える。さらに、国の政策の後押しやリフォーム事業者による提案強化による単価アップなどに加え、2020年に開催される東京オリンピックに向け、国内の景気が堅調に推移することを前提とした見通しであるという。

 2025年の住宅リフォーム市場規模は、2015年比約14%増の7.4兆円、2030 年は同約12%増の7.3兆円と予測している。住宅ストック数の増加に伴って「設備修繕・維持関連」分野の需要拡大や、住宅リフォーム関連支出額の増加が見込まれることから、2020年に向けて市場規模は拡大基調となる。その後は、世帯数減少の要因が強く影響し、市場は縮小基調になっていくと予測している。

 一方で、政府は成長戦略の一つとしてリフォーム市場の活性化を掲げており、住宅エコポイントや太陽光発電に代わるような何らかの政策的な後押しによるリフォーム件数増加や、リフォーム事業者による提案強化による単価アップについても加味したうえで算出しているという。2030年までの長期予測については、国内外の経済状況が安定的であることや、消費税をはじめとした税制・優遇制度等の大きな政策的な影響がないことなどを前提に、世帯数の変動および景気動向を加味したリフォーム関連支出額の変動を基に試算した。(編集担当:慶尾六郎)