【今週の展望】期待と不安が交錯する日米中央銀行イベント週

2016年07月24日 20:21

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「片目をつぶった、謎の人」黒田東彦氏。今週金曜日、その出番がやってくる。恩寵がもたらされ、喜びの叫びがあるのか?それともパンを求める者に石を与えるのか?

 25~28日にフィラデルフィアでアメリカ大統領選挙の民主党全国大会が開かれ、ヒラリー・クリントン氏を大統領候補に正式指名する予定。26~27日はFOMC(連邦準備制度理事会)が開かれる。今回はイエレン議長の記者会見はない。

 25日にはドイツの7月のIFO景況感指数、アメリカの7月のダラス連銀製造業活動指数、26日にはアメリカの5月のS&Pケース・シラー住宅価格指数、6月の新築住宅販売件数、7月のリッチモンド連銀製造業指数、CB消費者信頼感指数、27日には英国の4~6月期のGDP、アメリカの6月の耐久財受注、中古住宅販売仮契約、28日にはアメリカの7月のカンザスシティ連銀製造業活動指数、29日にはユーロ圏の4~6月期のGDP、6月の失業率、アメリカの4~6月期のGDP、7月のシカゴ購買部協会景気指数が、それぞれ発表される。

 アメリカの主要企業の決算発表は1~6月期決算のピークで、今週で大部分が終了する。

 25日にテキサス、26日にイーライリリー、マクドナルド、ユナイテッド・テクノロジーズ、レイノルズ、アンダーアーマー、ベライゾン、キャタピラー、3M、アップル、27日にコカ・コーラ、コーニング、コムキャスト、ボーイング、アムジェン、フェイスブック、マリオット、28日にインターナショナル・ペーパー、ダウ・ケミカル、ベーカー・ヒューズ、フォード・モーター、CME、マスターカード、アマゾン・ドットコム、ベリサイン、アルファベット、ファーストエナジー、29日にメルク、エクソンモービル、シェブロンが発表する予定。

 前週末22日の終値は16627.25円だった。そのテクニカル・ポジションを確認すると、移動平均線は5日線と200日線が上、75日線と25日線が下にある。5日移動平均は16668円で41円上。200日移動平均は690円上で、太陽系で言えば探査衛星を飛ばせる木星、土星あたりの距離まで近づいた。英国の国民投票直後の6月下旬は「光年のかなた」にかすんでいたのが、まるでウソのよう。75日移動平均は16326円で301円下。25日移動平均は15896円で731円も下に離れた。思えば遠く来たもんだ。

 日足一目均衡表の「雲」は、22日時点で16218~16504円で、終値は123円上。日経平均は久々に雲の上に出て、伸び伸びと上昇した。雲の向こう側はいつも青空だ。今週の「雲」は、その上限は16504円で一定。下限は25日の16218円から26日は16207円、28日は16171円、29日は16094円と下がっていき、雲はどんどん厚くなる。雲の上限の16504円は今週、下落時の下支え、サポートライン(下値支持線)の機能を果たしてくれそうだ。

 ボリンジャーバンドでは、22日終値は25日線+1σの16423円と+2σの16950円の間にある。ニュートラルではなく「上値は限定され下に動きやすい」ゾーン。とはいえ、今週はその下に「雲」という障害物がある。

 オシレーター系指標は「買われすぎ」シグナルが4個も点滅している。それは131.6で買われすぎ基準の130をオーバーした騰落レシオ、+4.4%で買われすぎ基準の+4%(+5%とする場合もあり)をオーバーした25日移動平均乖離率、+92.3で買われすぎ基準の+50をオーバーしたRCI(順位相関指数)、90.3で買われすぎ基準の70をオーバーしたストキャスティクス(9日・Fast/%D)。それ以外は、RSI(相対力指数)は67.3、サイコロジカルラインは7勝5敗で58.3%、ボリュームレシオは61.6となっている。

 5日続伸時点だった前々週末、7月15日時点の需給データを見ると、信用買い残は8日時点から1732億円減の2兆1485億円で、2週ぶりの減少。信用倍率(貸借倍率)は4.04倍から3.17倍へ2週ぶりの減少。信用評価損益率は-18.09から-15.31へ2週ぶりに改善した。裁定買い残は2069億円増の7841 億円で、7週ぶりに増加に転じた。

 東証が発表した7月11~15日の投資主体別株式売買動向によると、外国人は1748億円の売り越しから3511億円の買い越しに転じ、2週ぶりの買い越し。個人は1691億円の買い越しから4990億円の売り越しに転じ、2週ぶりの売り越し。ともに「砂時計」が週替わりでひっくり返された。信託銀行は1525億円の買い越しから56億円の売り越しに転じ、実に11週ぶりの売り越し。「需給三国志」は信託銀行がほぼ中立で、外国人買いと個人売りとのマッチプレーになっていた。

 前週のカラ売り比率は低下し、19日は36.9%、20日は36.9%、21日は37.4%、22日は40.6%。それでも40%以上の日が出現した。日経平均VI(ボラティリティー・インデックス)の7月22日終値は29.15。前週は30を超えたのは21日だけだったが、下がっても28台で下げ渋り。日経平均も一進一退で、完全にリスクオンしたとは言えなかった。

 今週はFOMCと日銀会合があるが、FOMCの利上げの可能性は薄く、あったとしてもNYダウ、日経平均への影響度はそれほど大きくないだろう。むしろ、日銀会合の結果が金融政策現状維持で29日の後場に失望売りされるほうが怖いが、21日の夕方、そのリハーサルのような出来事があった。