【今週の展望】 「いつも通りの日常」を改めてかみしめる週

2016年06月26日 20:18

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好転した経済指標、企業業績で上がり、悪化した経済指標、企業業績で下がる。為替が円安で上がり、円高で下がる。そんな「いつも通りの日常」に戻れるか?

 今週、6月第5週、7月第1週(6月27日~7月1日)は5日間の取引。早いもので、熊本で大地震だ、伊勢志摩サミットだ、オバマ大統領が広島訪問だ、消費増税先送りだ、都知事が辞任だ、人喰いグマが出た、参議院選挙だ、英国の国民投票だと騒いでいるうちに2016年の半分が終わってしまう。

 世界の主要株式市場の休場日は、7月1日にカナダ、香港、タイが休場する。

 国内の経済指標、イベントは、7月1日に政府発表の経済指標が集中する。今回は3ヵ月に1度の日銀短観もある。ただし鉱工業生産指数だけは前日の6月30日。6月29日は毎年恒例の株主総会の開催集中日だが、最近は集中度が低下している。「総会屋」「シャンシャン総会」はすでに「昭和のなつかしワード」なのだろう。発言を求める株主の頭を抑えつけ、ヘッドロックと羽交い締めで〃制圧〃しながら「異議なし!」と怒号する〃武闘派社員株主〃もいなくなった。彼らは今、昔の武勇伝を肴に酒でも飲んでいるのだろう。

 6月29日には5月の商業動態統計、30日には5月の鉱工業生産指数、5月の住宅着工件数、7月1日には消費者物価指数(CPI/5月全国、6月東京都区部)、5月の失業率、有効求人倍率、家計調査(二人以上世帯実質消費支出など)、6月調査の日銀短観、6月の消費動向調査が、それぞれ発表される。

 主要銘柄の決算発表は、小売など2月期決算銘柄の第1四半期(3~5月期)決算がそろそろピークを迎える。

 6月27日はダイヤモンドダイニング、ハイデイ日高、しまむらなど。28日はDCMホールディングス、Jフロントリテイリング、日本オラクル、ヒマラヤ、象印マホービン、さが美、平和堂など。29日はウェザーニューズ、ナガイレーベン、タカキューなど。30日はアダストリア、クスリのアオキ、USEN、スギHD、スター精密、ダイセキ、ニトリHDなど。7月1日は良品計画、ユニーGHD、UCSなど。

 新規IPOは今週は4件。全国的に有名なコーヒーショップで、最も注目されている銘柄が6月29日のコメダHD<3543>。28日のソラスト<6197>は4年ぶりの出戻り。

 6月27日にキャリア<6198>が東証マザーズに新規上場する。東京が本社で、シニア人材の活用コンサルティング、派遣、紹介や、介護施設等への看護師や介護士の派遣、紹介など高齢化社会型人材サービスを行う。公開価格は1950円。

 28日にベガコーポレーション<3542>が東証マザーズに新規上場する。福岡市が本社で、家具、インテリアなどのネット通販、越境市場をターゲットとするグローバルEC サイトの運営を行う。公開価格は1600円。

 29日にソラスト<6197>が東証1部に新規上場する。東京が本社で、医療事務、介護サービス、保育サービスや、それらにたずさわる人材のスキルアップ、キャリア支援を行う。旧社名「日本医療事務センター」。1992年にジャスダック、2002年に東証2部に上場したが、2012年にMBOで上場廃止になっていた「出戻り組」。公開価格は1300円。

 29日にコメダHD<3543>が東証1部に新規上場する。名古屋市が本社で、全国約700店舗の「珈琲所コメダ珈琲店」チェーンを運営するコメダの事業持株会社。公開価格は960円。

 海外の経済指標、イベントは、7月1日に中国のPMI、アメリカのISM製造業景況指数が発表される。英国の国民投票で離脱派が勝利したので、28~29日のEU首脳会議の重要性が途方もなく大きくなった。

 6月26~28日に中国・天津で世界経済フォーラム夏季会合(ダボス会議)が開かれる。28~29日はブリュッセルでEU首脳会議が開かれる。フランスのオランド大統領やドイツのメルケル首相が、辞意を表明した英国のキャメロン首相を「お疲れさん。よくやったよ」と慰めてから、離脱のスケジュールや経済混乱への対策など今後の対応を協議する。

 6月27日にはアメリカの6月のダラス連銀製造業活動指数、28日にはアメリカの1~3月期GDP確定値、4月のS&Pケース・シラー住宅価格指数、6月の消費者信頼感指数、リッチモンド連銀製造業指数、29日にはアメリカの5月の個人所得、個人支出、5月の中古住宅販売仮契約が、それぞれ発表される。

 6月29日にFRBが、銀行に対する年次ストレステスト(包括的資本分析/CCAR)の結果を公表する予定。

 6月30日にはアメリカの6月のシカゴ購買部協会景気指数、7月1日には中国の国家統計局の6月の製造業PMI、非製造業PMI、財新の6月の製造業PMI、ユーロ圏の5月失業率、アメリカの6月のISM製造業景況指数、5月の建設支出が、それぞれ発表される。

 アメリカの主要企業の決算は、6月28日にナイキ、29日にモンサントが発表する予定になっている。

 EU離脱の是非が問われた23日の英国の国民投票の結果は、投票率は72.2%。EU離脱51.9%対EU残留48.1%。憲法で国民投票が規定されるフランスなどと違って、議会制民主主義の母国では異例中の異例の国民投票は、世界をさんざんゆるがして終わった。今週は東京市場に「いつも通りの日常」が戻ってくるのだろうか?

 4ケタ安を喫した前週末24日の終値は14952.02円だった。そのテクニカル・ポジションを確認すると、移動平均は全てその上にあり、5日線は15878円、25日線は16382円、75日線は16575円、200日線は17529円。最も近い5日線でも926円離れている。200日線までは2577円もあり、別の島宇宙。

 日足一目均衡表の「雲」は前週、23日と24日の間で「ねじれ」が発生し、24日は16542~16552円に位置していた。24日終値から雲の下限までは1500円も離れている。「雲のねじれは変化日」という言い伝え通り、1286円安の大暴落だった。今週の雲は、下限は16542円でずっと一定だが、上限は6月27日が16701円、28日が16705円、30日が16734円、7月1日が16741円と徐々に上がっていき、雲の厚さは少しずつ厚くなっていく。突破するなら早い方がいいが、雲にたどり着くまで、はるかに遠い。

 ボリンジャーバンドは前々週の17日と同じく25日線-3σ(14774円)と-2σ(15310円)の間のロー・ポジション。「下値限定、上値追いの余地は大きい」と解釈でき、今年最大級のビッグイベントは通過したのでそれを素直に信じていいか? -1σは15846円、+1σは16918円、+2σは17454円にある。