黒田日銀総裁が「ヘリコプターマネーの必要性も可能性もない」と発言したと報じられると、為替のドル円は105円台前半まで円高が進行し、日経平均先物夜間取引は15460円まで売り込まれた。後で英国の国民投票より前の発言と判明して戻しているが、先物が16460円で下げ止まった点に注目。日足一目均衡表の「雲」の上限16504円の少し下の水準で、上限の数値は今週、変化しない。
だから今週は、日銀会合が金融政策現状維持でも、日米の企業決算が悪くても、バカンス前の手じまい売りがボロボロ出ても、日足一目均衡表の「雲」の上限が下値支持線になってそこで反発し、終値では雲の中には落ち込まないとみる。29日は7月の最終取引日でもあり、当てにはできないがドレッシング買いが食い止めるかもしれない。だから下値のメドは16500円。キリもいい。
しかしボリンジャーバンドもオシレーター系指標も「上値限定」を示しており、6月SQ値16639円も接近しているので、上値は上がってもせいぜい25日線+2σの16950円までが限界だろう。前週もザラ場高値ではその手前の16938円で折り返している。17000円突破には値がこなれる時間がもう少し必要かもしれない。それは日柄調整ということ。
ということで、今週の日経平均終値の予想変動レンジは16500~16950円とみる。
「サマーラリー」という言葉がある。夏場のバカンスシーズンに入る前に大相場がくるというNY市場のアノマリーだが、その反動なのか例年、8月はろくなことが起こらない。昨年は「チャイナ・ショック」が起き、一昨年はイラク限定空爆の「オバマ・ショック」、2011年は米国債格下げショックでNYダウは急落している。さかのぼればBNPパリバ・ショック(2007年)、ロシアの財政危機(1998年)、ソ連のクーデター騒ぎ(1991年)、サダム・フセインのクウェート侵攻(1990年)も8月だった。それらはみな、突然やってきた。7月のうちに手じまいしておくのも身のためかもしれない。(編集担当:寺尾淳)