「ラホイ・ベルルスコーニ・ショック」は１日限り有効だったようで、ＮＹダウは99ドル高。日銀の白川総裁の任期前辞任発表も、日本人なら「副総裁と任期を合わせるただの日程調整」と思うところ、モニターのフラッシュニュースを見た海外の為替トレーダーは円売り材料と思ったらしく、６日朝方の為替レートはドル円は９３円台後半、ユーロ円は１２７円前半まで円安が大きく進展。日経平均は１８９．７８円高の１１２３６．７０円で始まったが、１５分ほどで１１３００円台に乗せる。後場は先物主導で上値をどんどん切り上げる展開で、午後１時台には１０４００円台に乗せ、２時台にはドル円が一時９４円台にタッチしたこともあり１１５００円にあと２円まで迫ったが、大引け前に利益確定売りが入り終値は４１６．８３円高の１１４６３．７５円。２０１０年４月のリーマンショック後高値の終値１１３３９円、ザラ場１１４０８円を一気に抜く大幅上昇になった。ＴＯＰＩＸ終値は＋２９．１２の９６８．８２。売買代金は２兆８１９１億円で３日連続で記録を更新した。
大幅高で業種別騰落率は全業種プラス。上位は海運、輸送用機器、ゴム、倉庫、機械、不動産、鉄鋼などで、下位は空運、小売、水産、陸運、電力・ガスなどだった。
先物主導の上昇だったので、前日の買い戻しが入って９７０円高のファーストリテイリング＜9983＞、３６０円高のファナック＜6954＞、１３５円高のソフトバンク＜9984＞のご存知「日経平均寄与度御三家」は寄与度の１、２、４位を占め、３位で３９０円高の京セラ＜6971＞と合わせると日経平均を８５円も引き上げた。
急速な円安を好感して輸出関連、特に自動車株は好調。前日の大引け後に決算発表を行い、通期業績見通しが単独営業黒字に転換し、連結は上方修正が並んだトヨタ＜7203＞は、昨年来高値を更新して２７５円の大幅高で売買代金１位。デンソー＜6902＞、アイシン精機 ＜7259＞、豊田合成＜7282＞も３ケタ高で、オールトヨタで春爛漫だった。午後１時に決算発表を行った富士重工＜7270＞は通期純利益を過去最高益に上方修正したが「７８７」や「中国」が不安視されて株価は乱高下。それでも終値は６７円高に落ち着く。ホンダ＜7267＞は１１５円高、日産＜7201＞は４１円高、マツダ＜7261＞は１２円高だったが、三菱自動車＜7211＞は３円安でカヤの外だった。
１月のソニー＜6758＞に代わる２月の株式市場の看板役者パナソニック＜6752＞は２０円高と値動きは地味だったが、それでも売買高は４位で売買代金は２位。ソニーは３４円高だった。電機は東芝＜6502＞の２２円高、三菱電機＜6503＞が４２円高が目立ち、富士通＜6702＞はしっかり買い戻された。
川崎汽船＜9107＞など海運株が買いを集め、前日不振の不動産も揃って買い戻されたが、特に派手だったのが三菱重工＜7011＞の値動き。午後１時３０分に決算発表を行った直後に７７円高までぐんぐん上昇。終値は５０円高で値上がり率１２位に入り、売買高６位、売買代金５位に入った。通期純利益を２００億円上方修正しただけでなく、この日、注目を集めた防衛関連銘柄でもあった。
通期の純利益が過去最高を更新する見通しを出し、増配と自社株買いの実施を発表した花王＜4452＞は２０１円高。ともに通期の経常利益見通しを上方修正した石油元売りのＪＸＨＤ＜5020＞は１８円高、出光＜5019＞は６０円高。ローソン＜2651＞は６連騰で７０００円台まであと少し。通期の純利益を８８％減に下方修正した東京エレクトロン＜8035＞は、後場に買い戻されて終値は３０円高。一方、大日本スクリーン＜7735＞、東洋紡＜3101＞は株価を下げた。
今日の主役は防衛関連銘柄で、中国海軍が海上自衛隊の護衛艦やヘリに射撃用レーダーを照射した問題で、投資家は豊和工業＜6203＞や石川製作所＜6208＞を朝からロックオン。値上がり率でそれぞれ５位、６位に入った。この２銘柄は４日は値上がり率、５日は値下がり率のランキングに入り、株価が日替わりで激しく上下動している。関連会社が自衛隊艦艇の建造で実績を持つＩＨＩ＜7013＞は１４円高と買われ、新護衛艦を建造中の三井造船＜7003＞にも買い出動がかかり１８円高で値上がり率１０位。戦闘機の計器を作る東京計器＜7721＞、イージス艦のハイテク機器を作る日本アビオニクス＜6946＞も株価上昇率が５％を超えた。新興市場では防毒マスクを作る興研＜7963＞と重松製作所＜7980＞が昨年来高値を更新。照明弾や発煙筒を作る細谷火工＜4274＞も株価が高騰した。なお、中国関連銘柄の代表のコマツ＜6301＞は７４円高、日立建機＜6305＞は７３円高で、特に影響はない模様。この日、２７５円の大幅高だったダイキン＜6367＞はシャープ＜6753＞とともに空気清浄機が今、大気汚染がひどい中国の大都市で爆発的に売れているという。もし、人民解放軍のせいで製品供給が途絶えたら、人民の健康が損なわれる。（編集担当：寺尾淳）
