燃料電池の普及に向けた取り組み、産業車両でも加速

2013年02月08日 10:26

 BMWグループとトヨタ<7203>が燃料電池システムの共同開発を実施すると発表。日産<7201>も、ダイムラー、フォードと世界初の手ごろな価格の量産型燃料電池車を共同で開発すると発表するなど、2013年に入ってからというもの、燃料電池車を巡って自動車業界が大きく動き出している。こうした中、豊田自動織機<6201>が、経済産業省と北九州市が進める「北九州スマートコミュニティ創造事業」の一環として、2012年12月から、新開発の燃料電池フォークリフトによる実証実験を開始したと発表した。

 豊田自動織機は、2005年10月にプロトタイプを発表して以降、高い環境性能と経済性を両立する次世代フォークリフトの実用化を目標に、燃料電池フォークリフトの研究開発を進めていた。今回の実証実験では、トヨタ自動車との共同開発で新たに開発した、小型・高効率なフォークリフト用燃料電池システムを搭載したフォークリフト2台を、豊田合成北九州工場にて運用し、環境負荷低減効果と経済性を検証する計画とのこと。燃料電池フォークリフトは、環境性能に優れるだけでなく作業性においても、約3分で燃料充填を行い、充電や電池交換なしで連続稼働が可能となることから、電動フォークリフトと比較して稼働効率の大幅な向上を図ることができるという。

 電気自動車は、航続距離やコスト、充電に係る時間等から従来車にとって代われるものではない。一向に普及が進まない現状がその証左であろう。そして、高い作業性能をも併せ持つというのであるから、産業車両においても燃料電池の方が優勢と言える。電気自動車が一向に普及しないことに焦り、むやみに急速充電器の数を増やすぐらいであれば、燃料電池自動車の大衆化に向けた取り組みをもっと加速させるべきではないだろうか。(編集担当:井畑学)