京セラが高速・高精細な商業印刷用インクジェットプリントヘッド開発

2012年04月25日 11:00

 京セラが、商業用インクジェット印刷機の基幹部品であるインクジェットプリントヘッドにおいて、印刷速度が世界最速となる80m/分を実現した1200×1200dpiの高解像度ヘッド「KJ4B-Zシリーズ」を開発したと発表。幅広印刷時におけるヘッドの使用本数も低減可能となっているため、機器設計の容易性、実装の負荷低減にも貢献するという。

 圧電アクチュエーターを駆動制御する信号波形やインクの流路構造を改善することで、1つのインクノズルから最大毎秒約6万4千滴のインクを吐出。また、高密度設計により、1つのヘッドに5120個のノズルを配置し、毎秒約3.3億滴のインクを吐出することで、1200×1200dpiで世界最速の80m/分の印刷速度を実現している。さらに、圧電アクチュエーターやインクノズルの高密度設計に加え、インクの流路構造などを改良し、インク液滴の小滴化を図ることでより高精細な印刷に対応している。

 加えて、有効印刷幅が圧電方式として世界最大108mmのヘッドのため、幅広印刷が必要な場合でもヘッドの使用本数が少なくてすみ、印刷機器設計が簡易化。ヘッドの本数が少なくてすむため、実装工程でも、ミクロン単位でのヘッドの位置合わせや、インク配管、配線などの調整負荷を低減できるという。

 カタログや各種広告類などを取り扱う商業印刷では、オフセット印刷と呼ばれる、インクを一度ゴムブランケット(中間転写体)に転写してから紙などに印刷する方式による大量印刷が主流となっている。しかし、印刷物の小ロット化・短納期化・在庫削減や、個々に異なるデータを1枚ごとに印刷する方式である可変印刷など、多様なニーズに対応できるオンデマンド印刷方式への需要が高まっているという。今回の開発はこういった状況を受けてのものであるが、電通によると、2011年の雑誌広告費は前年比93%の2542億円。雑誌休刊点数も前年より58点減少しているものの、158点もの雑誌が休刊している。雑誌以外の出版市場も縮小しており、印刷市場の主幹が徐々に細っている現状にある。こういった状況下、どれだけ本ヘッドの導入が進むのか。厳しい状況にあることは間違いないであろう。