川崎重工が、中国遼寧省大連市にある造船企業の大連中遠造船工業有限公司(DACOS)に出資することを決定したと発表。間接的な出資であったDACOSに対し、直接の出資者となることで、各種船舶の開発・設計・建造能力のさらなる向上と、生産システムおよび経営管理の改善を図るという。
DACOSは、中円造船工業公司(COSIC)と、川崎重工がCOSICと折半出資で共同運営している南通中遠川崎船舶工程有限公司(NACKS)との合弁会社。敷地面積180万m2、2基の建造ドックを有する大型の造船所を所有しており、これまで2隻の205000トン型ばら積運搬船を竣工している。出資比率COSIC70%、NACKS30%の内、今回の出資ではCOSICより34%の出資持分を譲り受けるとのこと。
先の第三四半期において減収減益となっている川崎重工 の船舶海洋事業。こういった中、川崎重工は中国拠点を成長センターと位置づけ、事業規模の拡大と収益性の維持向上を目指して国内拠点との協業体制の深化を図っており、3月だけでも、同社が出資するNACKSが205型と58型の2隻のばら積運搬船を引き渡したと発表するなど、中国での事業を活発化、積極的に広報している。成長国への積極的な投資は理にかなった戦略と言えるかもしれないが、造船市場において日本が優位に立つといわれる高い技術力と高付加価値化のお株まで奪われ、日本国内の造船業を更に圧迫するものとはならないことを願いたい。