缶コーヒーのキャンペーン展開が市場を左右

2012年04月02日 11:00

 缶コーヒーは缶飲料の中で約1/4のシェアを占めるといわれ、嗜好性が高いカテゴリでもあることから、飲料各社にとって重要カテゴリのひとつである。従来はホットコーヒーの需要が増える秋にあわせての実施が主流であったキャンペーンについても、新たな客層の開拓や継続飲用を図るべく、近年は秋以外のシーズンにも積極的に実施しており、今春は無糖や濃い味などのトレンドに沿った商品展開をする一方、プレゼントやゲームなどのオリジナルコンテンツを提供するキャンペーンを盛んに実施している。

 コカ・コーラが展開する缶コーヒーブランド・ジョージアでは、ジョージア・ベースボール・パークと題するキャンペーンを展開。シールに書かれた番号を入力することでポイントを獲得でき、そのポイントを用いてプロ野球の勝敗を予想するもの。的中すればジョージアのオリジナル球団グッズや、パナソニックのワンセグポータブルナビ「Gorilla」が当たるという。さらに、期間限定のプレゼントキャンペーンや、ジョージア魂賞と称するファン投票による特別表彰なども実施しており、新規客層の開拓と継続飲用の両方を図ったキャンペーンを実施している。

 ボスブランドを展開するサントリーでは、BOSS VEGASと称したゲームコンテンツを提供。会員登録をしてゲームに参加することで得られるポイントに応じ、3D対応ブルーレイレコーダーやプラズマクラスターイオン発生機などの景品が合計6000名に当たるキャンペーンを展開している。ボスにちなんだゲームやオリジナル商品を提供することにより、ファンの定着が図られたものとなっている。

 また、3月26日からは、プレミアムブランド「デミタスコーヒー」シリーズを展開するダイドードリンコが、「選べて、満たす。ミタスデミタスキャンペーン」を開始している。対象商品に貼り付けられたシリアルナンバーを登録してポイントを貯め、そのポイント数によって景品に応募できるというもの。ハイビジョン液晶テレビやダイソン製ファンヒーターなどが各30名に当たるという豪華さだけでなく、当選者数は合計30000人にも上るというから、近年では他には見られない豪華さと規模のキャンペーンとなっている。こちらのキャンペーンは、液晶テレビやデジタルカメラといったものから、ゲーム機、折りたたみ自転車、ドライヤーなどの幅広いジャンルの商品を提供しており、広く新規顧客の獲得を図っているキャンペーンと言えるであろう。

 昨年、アサヒ飲料が飲料業界4位という大躍進をみせたのも、若年層の開拓を図ったAKB48の広告起用などの積極的なキャンペーン展開が一因となっている。商品へのこだわりや独自性だけでなく、独自性の強いキャンペーンが、大きく業界図を塗り替えるものとなりうるということであろう。今後も多く実施されるであろう各社のブランドイメージに沿ったキャンペーンから目が離せない。