【今週の展望】25日移動平均線と「雲」の防衛力が試される

2017年02月19日 20:29

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チャート上に描かれるテクニカル指標でおなじみな存在が、25日移動平均線と、日足一目均衡表の「雲」。今週はその両者のサポート力がストレステストにかけられる。

 今週、2月第4週(20~24日)は5日間の取引。23日に新規IPOが3件集中する。

 世界の主要株式市場の休場日は、20日はアメリカが「プレジデンツ・デー」の祝日。初代ワシントン、16代リンカーンを讃える日だったが、1971年に歴代全大統領の功績を讃える日になった。株式、債券、為替、商品の市場がともに休場する。23日にロシア、24日にインドのムンバイ市場が休場する。

 国内の経済指標、イベントは少なく、20日の貿易統計が最も重要。

 20日には1月の貿易統計、全国コンビニエンスストア売上高、21日には12月の全産業活動指数、23日には1月の企業向けサービス価格指数が、それぞれ発表される。24日に気象庁から3~5月の3ヵ月予報が発表される。この日は初めての月末金曜日「プレミアムフライデー」。3時で終業になり帰れる人は、どれぐらいいる? 24日と25日に東京国際フォーラムで「東証IRフェスタ2017」が開催される。26日は東京マラソンの開催日。81年前のように雪が降ったら、中止となるので皆泣いておるぞ。

 主要銘柄の決算発表は、3月期決算銘柄の4~12月期決算の東証の推奨期限が過ぎ、端境期。20日に横浜ゴムが2016年12月期の本決算を発表する。

 新規IPOは今週3件で、全て23日。

 レノバ<9519>が東証マザーズに新規上場する。東京が本社で、再生可能エネルギー発電事業、再生可能エネルギー開発・運営事業を行う新電力関連銘柄。公開価格は750円。

 フュージョン<3977>が札幌証券取引所アンビシャス市場に新規上場する。札幌市が本社で、ビッグデータ等の分析、マーケティングシステムの提供、各種プロモーションの企画・制作・コンサルティングなどダイレクトマーケティング事業を行う。公開価格は1140円。

 ユナイテッド&コレクティブ<3557>が東証マザーズに新規上場する。東京が本社で、首都圏エリアで鶏料理居酒屋「てけてけ」、和食「心」、ハンバーガーカフェ「The 3rd Burger」を直営方式で運営する外食企業。公開価格は1620円。

 2月の新規IPOは23日で終了し、次回は3月7日のロコンド<3558>(TOKYO PRO市場を除く)になる。3月は有名コピーライターの糸井重里氏が社長を務める16日のほぼ日<3560>など、上場日が決まっているものだけでも14件ある東京市場「春のIPOまつり」実施。

 海外の経済指標、イベントは、22日のアメリカの中古住宅販売件数が最も重要。

 20日にはタイの10~12月期GDP、21日には1月の北米半導体製造装置BBレシオ、22日にはドイツの2月のIFO景況感指数、英国の10~12月期のGDP改定値、アメリカの1月の中古住宅販売件数、23日にはアメリカの1月のシカゴ連銀全米活動指数、12月のFHFA住宅価格指数、2月のカンザスシティ連銀製造業活動指数、24日にはアメリカの1月の新築住宅販売件数が、それぞれ発表される。

 20日にブリュッセルのEU本部でトゥスクEU大統領とアメリカのペンス副大統領が会談し、共同記者会見を行う予定。22日に1月31日、2月1日に開催されたFOMCの議事録が公表される。22日にブラジル、23日に韓国が政策金利を発表する。26日にはアカデミー賞の授賞式。グラミー賞のようにステージの上でトランプ批判が渦巻くか?

 アメリカの主要企業の決算発表は百貨店、スーパー、専門店など小売業が多い。

 21日にエコラボ、ウォルマート、メーシーズ、ホーム・デポ、ニューモント・マイニング、アメリカン・ウォーター・ワークス、22日にTJX、トランスオーシャン、リアルティ・インカム、HP、テスラ・モーターズ、トール・ブラザーズ、23日にアイアン・マウンテン、コールズ、ノードストローム、GAP、24日にキャボット・オイル&ガス、ピナクル・ウェスト・キャピタル、フット・ロッカー、JCペニーが発表する予定。

 前週末17日の終値は9234.62円だった。そのテクニカル・ポジションを確認すると、主要な移動平均線は5日移動平均がその上に、それ以外の3本がその下にある。5日移動平均は19343円で109円上、25日移動平均は19116円で118円下、75日移動平均は18701円で533円下、200日移動平均は17347円で1887円下にある。前々週末の10日と比べると4本の移動平均線全て、その位置が高くなっている。

 日経平均のローソク足は、日足一目均衡表の「雲」の上限を前々週の10日に突破した後は、週の最初から最後まで上限19112円の雲にタッチせず、ずっと上空に並んだ。17日の終値19234円は雲の上限よりも122円上にある。今週の雲は、下限は17863円で固定だが、上限は21日に19123円まで上がった後、週末の24日には19079円まで下がる。もっとも、前週の高値と安値の間であれば雲にはタッチしなくてすむ。

 今週の雲の厚さは1200円以上あり、下落時の下支えのサポート力が強い。雲の上限は3月いっぱいは19000円を超える水準を保つ。一方、下限のほうは3月2日まで17863円のまま固定で、その後は急速に上昇し、3月後半の雲の厚さは200円程度まで薄くなる。それだけ雲のサポート力が弱まる。

 ボリンジャーバンドでは、前々週末の10日は25日移動平均+1σと+2σの間にあったが、前週末17日は-1σ~+1σの間の元のサヤ「ニュートラル・ゾーン」におさまった。7日終値と18901円の-1σとの距離は333円で、19330円の+1σとの距離は96円。やや上寄りに位置しているが、原則的に言えば上にも下にも動きやすいポジションである。

 オシレーター系指標は、週間騰落が144円安で今年になって最少の数字(絶対値)だったこともあり、「買われすぎ」シグナルも「売られすぎ」シグナルも点灯せず、ニュートラルな数値が目立つ。25日移動平均乖離率は+0.62%。RSI(相対力指数)は58.98。25日騰落レシオは100を超えて100.64。サイコロジカルラインは6勝6敗で50.0%と「ど真ん中」。ストキャスティクス(9日・Fast/%D)は74.9。RCI(順位相関指数)は+48.3。ボリュームレシオは54.9。

 2月10日時点の需給データは、信用買い残は3日時点から77億円減の2兆3351億円で6週ぶりの減少。信用倍率(貸借倍率)は2.61倍から2.50倍に減少し2週ぶりの減少。信用評価損益率は-7.81から-6.78へ2週ぶりに改善。-6台は2015年7月31日以来の低さで、数字上では投資家心理は良くなっている。裁定買い残は167億円減少の1兆6326億円で2週ぶりに減少していた。