今週、1月第4週(23~27日)は5日間の取引。27日から中国が春節(旧正月)の休暇期間に入り、上海など中国本土市場は2月2日まで休場する。中華文化圏に属する香港、台湾、ベトナム、韓国の他、華僑社会がある多民族国家のシンガポール、マレーシアでも休場する日がある。香港、韓国、シンガポール、マレーシアは1月30日まで、ベトナム、台湾は2月1日まで休み。
世界の主要株式市場の休場日は、25日にブラジル、26日にオーストラリア、インド、ベトナム、27日に中国本土市場、台湾、韓国、ベトナムが休場する。
国内の経済指標、イベントは25日の貿易統計、27日のCPIが重要になる。
23日には11月の全産業活動指数、25日には12月の貿易統計、26日には12月の企業向けサービス価格指数、27日には消費者物価指数(CPI/12月全国、1月東京都区部)が、それぞれ発表される。
27日にミネベア<6479>とミツミ電機<6767>が経営統合しミネベアミツミ<6479>になる。上場廃止になるミツミ電機に代わって大塚HD<4578>が日経平均構成225銘柄に仲間入りする。
主要銘柄の決算発表は安川電機<6506>、日本電産<6594>、ファナック<6954>、信越化学工業<4063>、アルプス電気<6770>、NTTドコモ<9437>、三井住友FG<8316>などがあり、3月期決算銘柄の4~12月期決算が本格化する。数的なピークは来週と再来週。
23日は安川電機、西部ガス、タカラレーベンなど。24日は日本電産、カブドットコム証券など。25日は航空電子、日立化成、富士通ゼネラル、ドリコム、KOA、LINEなど。26日は帝国ホテル、エムスリー、栄研化学、サイバーエージェント、日立金属、富士電機、日立国際電気、アドバンテスト、ファナック、信越ポリマー、H2Oリテイリング、オリックス、大京、空港施設、ゴールドクレスト、ユアテック、JCRファーマ、総合メディカル、小糸製作所など。
27日は松井証券、大東建託、東芝プラント建設、日立キャピタル、OBC、リコーリース、ハウス食品G、MonotaRO、信越化学工業、NRI、大日本住友製薬、ダスキン、オービック、東映アニメーション、大阪チタニウム、東邦チタニウム、アルプス電気、日立マクセル、アルパイン、ANA、NTTドコモ、パナホーム、日立ハイテク、日立工機、三井住友FG、ブルボンなど。
新規IPOは今週1件。1月はこの1件のみ。27日にシャノン<3976>が東証マザーズに新規上場する。東京が本社で、マーケティングクラウドサービスの企画・開発・販売・導入、マーケティングに関わるコンサルティングおよびサービスを手がける。公開価格は1500円。社名のスペルは「Shanon」で、アイルランドの大河や空港の名前、女性の名前、60年代に活躍したアメリカの歌手デル・シャノンの「Shannon」とは異なるので注意。その次の新規IPOは2月10日。
海外の経済指標、イベントは27日のアメリカのGDPとともに住宅指標も重要で、24日は中古住宅、26日は新築住宅の販売件数が発表される。
24日にはアメリカの12月の中古住宅販売件数、北米半導体製造装置BBレシオ、25日にはドイツの1月のIFO景況感指数、アメリカの11月のFHFA住宅価格指数、26日には英国の10~12月期のGDP、アメリカの12月の卸売在庫、シカゴ連銀全米活動指数、新築住宅販売件数、CB景気先行総合指数、カンザスシティ連銀製造業活動指数、27日にはアメリカの10~12月期のGDP、12月の耐久財受注、製造業受注が、それぞれ発表される。24日にトルコ、25日に韓国が政策金利を発表する。
アメリカの主要企業の決算発表は10~12月決算がクライマックスを迎え、大手製造業や著名なIT企業が目白押し。
23日にマクドナルド、ハリバートン、ジオンズ・バンコープ、ヤフー、24日にコーニング、D.R.ホートン、ジョンソン・エンド・ジョンソン、トラベラーズ・カンパニーズ、ベライゾン・コミュニケーションズ、ロッキード・マーチン、アルコア、キンバリー・クラーク、3M、テキサス・インスツルメンツ、シーゲイト・テクノロジー、CA、インテューティブ・サージカル、25日にP&G、ボーイング、イーベイ、ノーフォーク・サザン、AT&T、クアルコム、ユナイテッド・テクノロジーズ、シトリックス、フリーモント・マクモラン、ラスベガス・サンズ、26日にキャタピラー、サウスウェスト航空、マイクロソフト、スターバックス、インテル、ペイパル、インベスコ、フォード、ダウ・ケミカル、バルトG、VMウェア、アルファベット、27日にエアープロダクツ・アンド・ケミカルズ、ハネウェル、シェブロン、ゼネラル・ダイナミックスが発表する予定。
前週末20日の終値は19137.91円だった。そのテクニカル・ポジションを確認すると、4本の主要な移動平均のうち25日移動平均はその上にあり、他の3本は下にある。25日移動平均は19282円で145円上、5日移動平均は19002円で135円下、75日移動平均は18118円で1019円下、200日移動平均は17083円で2054円下。5日線以外の3本は13日時点と比べて上昇している。
日足一目均衡表の「雲」は、20日は17696~18225円に位置していた。その上限は20日終値19137円から912円も下にある。今週の雲は、下限は23日の17698円から17775円まで76円しか上昇しないが、上限は23日の18226円から27日の18656円まで430円も上昇する。雲の厚さも23日の528円から27日の881円まで厚くなる。この先、上限は31日に19000円にタッチし、その後は19000円台を維持して2月18日に19135円まで上がる。日経平均がいつまでも19000円付近でくすぶっていると2月は雲の中に迷い込みそうだ。
ボリンジャーバンドでは、20日終値19137円は25日移動平均-1σの19093円と+1σの19471円の間の「ニュートラル・ゾーン」に位置している。今年になってから3週連続。-1σは44円下、+1σは334円上、25日線よりも145円下なので、若干下には動きにくく、上には動きやすいポジションにある。
オシレーター系指標は、「売られすぎ」シグナルが1個だけ点灯していた。RCI(順位相関指数)で、-84.6で売られすぎ基準の-50を下回った。25日騰落レシオは18日に昨年9月20日以来4カ月ぶりに100を割り込んだ。12月15日に165.56まで上がったのが遠い昔のよう。20日終値では100.0。ボリュームレシオは44.2、ストキャスティクス(9日・Fast/%D)は43.8、サイコロジカルラインは6勝6敗で50.0%、25日移動平均乖離率は-0.8%、RSI(相対力指数)は44.3だった。
1月13日時点の需給データは、信用買い残は1月6日時点から607億円増の2兆1669億円で2週連続増加。信用倍率(貸借倍率)は2.27倍から2.36倍へ2週ぶりに増加。信用評価損益率は-7.36から-7.68へ0.32ポイントの3週連続改善。裁定買い残は2437億円減の1兆6462億円で2週連続減少。1月10~13日の投資主体別株式売買動向は、外国人は1105億円の3週連続の買い越し、個人は67億円の10週ぶりの買い越し、信託銀行は255億円の5週連続の売り越しだった。金額は半減しても年明けの海外投資家の買い越しが継続し、それに個人が加わった。
前週5日間のカラ売り比率は、16日が41.0%、17日が40.9%、18日が40.3%、19日が38.7%、20日が37.6%。前場がマイナスだった16日から18日まで3日連続で40%を超えたが、前場からずっとプラスだった19日、開始直後にプラスに転じた20日は40%を割り込んだ。週の前半で信用売りのポジションの整理がすんだ、ということか?
日経平均VI(ボラティリティー・インデックス)の1月20日終値は19.94で、1月13日終値の18.01から1.93ポイント上昇したが20割れで水準は低いまま。トランプ次期大統領のドル高懸念発言、英国のメイ首相のEU完全離脱発言、イエレンFRB議長の利上げ回数発言、ムニューチン次期財務長官の強いドル発言など要人発言に何度も翻弄された週だったが、「恐怖指数」は21を超えることがなかった。表面的にリスクオフしても、恐怖は本物ではなかった、ということか?
20日、ドナルド・トランプ氏がワシントンDCの連邦議会議事堂で第45代アメリカ大統領就任式に臨み、約20分の就任演説で「アメリカ・ファースト」を強調したがサプライズはなし。就任初日に行ったTPP離脱やオバマケアの見直しも以前から繰り返し言っていたこと。NYダウは保護主義懸念なのか就任演説直後に少し下げたが、すぐに元に戻り94ドル高で6営業日ぶりに反発した。NASDAQもS&P500もプラス。ヨーロッパの株価は英国はマイナス、ドイツ、フランスはプラスだった。企業決算はAMEXは悪かったがGE、IBMは悪くなく、原油先物は上昇して終値52ドル台、金先物も上昇した。アメリカの長期金利は上昇したが、NY時間の為替レートはドル円が114円台後半、ユーロ円が122円台後半でややドル安。大阪夜間取引終値は19090円、CME先物清算値は19135円だった。
20日でアメリカの大統領就任式、政権交代という世界的なイベントを無事通過した。重要イベントはそれを通過したこと自体が好材料になり、上昇のきっかけになる。今週のマーケットの焦点は企業決算に移る。アメリカでは10~12月期の決算発表のピークで、日本では3月期決算銘柄の第3四半期(4~12月期)決算が本格的に始まる。日本のピークは来週、再来週だが、それを先取りするように新聞に業績観測記事が載り、それによって株価も動くだろう。
日米とも、企業業績はおおむね好調。アメリカは小売業が悪かったが、その発表時期はすでに終わっている。日本企業は上半期に円高・株安で痛んだ業績を、下半期の「トランプ・ラリー」の円安・株高でどこまで取り戻すことができたかがポイント。もし通期業績の上方修正が目立つようなら東京市場の空気は明るくなるが、その可能性はある。今週は国内経済指標の発表が少ないので、企業業績の好影響がいっそう出やすくなる。
その分、リスクは海外にありそうだが、欧米は重要イベントがなく、中国は春節(旧正月)直前のホリデー気分で、要人発言に振り回された前週のようなピリピリムードではないだろう。日経平均の週間騰落は前々週、前週とマイナスだったが、その2週分の下落を全部取り返して今週、1月6日終値の19454円付近まで上昇する可能性がある。その推進力は言うまでもなく日米の企業決算である。
テクニカル指標を見ても、20日終値19137円のポジションは上に動きやすい。すぐ上には1月SQ値の19182円があり、その100円上に「座りのいい」25日移動平均の19282円がある。今週、このあたりまでは難なく上昇できるだろう。それに決算発表、業績観測記事や為替の円安などでひと押しが加わると、ボリンジャーバンドの25日線+1σの19471円を少し超える19500円に達することも十分考えられる。上昇の足を引っ張る「イベント待ちの様子見」は、もうなくなった。
一方、下値のほうは前週に引き続き為替の円高警戒。ドル円が113円台、112円台に振れると、企業決算での上昇を帳消しにしかねない。トランプ新政権の「オバマ以前に戻す」政策やヨーロッパの財政リスク浮上、地政学的リスクなど、ドル安、リスク回避の円高に見舞われる要因は決して払拭しきれていない。今週に限っては、19000円割れしボリンジャーバンドの25日線-2σの18904円付近まで下落するリスクも考えておいたほうがよさそうだ。
ということで、今週の日経平均終値の予想変動レンジは18900~19500円とみる。
前週は東芝<6502>が、原子力事業の損失で「債務超過か?」という物騒な観測が飛び出し急落したが、昨年末にその話が取り沙汰される以前の東芝はどうだったかというと、好調な半導体メモリーが〃救世主〃と目され、マーケットでは「不祥事からの復活に向けて着々」と分不相応にもてはやされていた。まるで「一寸先は闇」のようだが、東芝の決算のバランスシートや事業部ごとの損益をくわしく調べて正しく評価していれば、「会社側は通期業績の上方修正を繰り返すが、全体的にみてそれは正当なのか?」と、どこかで疑問を持ったはず。投資家は、「自分は数字に弱いから」と言ってどこかの決算分析を鵜呑みにしたりせず、自分で決算データを調べて自分なりに評価ができるようにならないと、後で痛い目にあいかねない。株式市場は勉強した通りにならないことも少なくないのだが、勉強をしない投資家は、投資家でいられなくなるリスクを負う。(編集担当:寺尾淳)