電通<4324>は、日本の総広告費と媒体別・業種別広告費を推定した「2016年(平成28年)日本の広告費」を発表した。
それによると、2016年の総広告費は6兆2,880億円、前年比101.9%と5年連続でプラス成長となった。
「マスコミ四媒体広告費」(衛星メディア関連を含む)は、2兆8,596億円、前年比99.6%。うち「テレビメディア広告費」(地上波テレビ+衛星メディア関連)は、同101.7%となった。「インターネット広告費」は、1兆3,100億円、同113.0%。うち「インターネット広告媒体費」は、1兆378億円、同112.9%と初めて1兆円を超えた。「プロモーションメディア広告費」は、2兆1,184億円、同98.9%。なお、「マスコミ四媒体広告費」(衛星メディア関連を含む)を四半期別にみると、1-3月期は同100.9%だったものの、4月以降の各四半期は前年を若干下回った。
新聞広告費は前年比95.6%の5,431億円。前年に引き続き年間を通して減少傾向にある。企業収益の改善、参院選、リオデジャネイロ オリンピック・パラリンピックなどで増加したものの、長期的な新聞購読部数の減少に加え、夏場の天候不順、消費税先送りに伴う需要の先延ばしなどが影響し減少した。
雑誌広告費は前年比91.0%2,223億円。推定販売金額が12年連続で減少(同96.6%)となるなど、雑誌業界を取り巻く環境は引き続き厳しい。一方、定額制読み放題サービスなどの電子雑誌市場(同127.1%)は拡大。「雑誌の読まれ方」に変化が起きている。ジャンル別の広告掲載では、「中高年齢男性をターゲットとしたライフスタイル誌」が伸長。一方、販売シェアの高い「女性誌」や「ヤング向け女性誌」は縮小した。
ラジオ広告費は前年比102.5%の1,285億円。年間を通して好調に推移した。
業種別では、シェアの高い「外食・各種サービス」が同110.5%と2桁成長し、11年連続で増加した。そのほか「不動産・住宅設備」「自動車・関連品」なども増加した。
テレビメディア広告費(地上波テレビ+衛星メディア関連)は前年比101.7%の1兆9,657億円。地上波テレビ全体は、年間を通してプラスで推移した。番組(タイム)広告(同99.8%)は、「サッカーAFC U-23選手権2016(カタール)」「世界卓球2016マレーシア」「リオデジャネイロ オリンピック バレーボール世界最終予選」「キリンカップサッカー2016」などのスポーツ番組があったものの、上半期(1-6月期)は前年をわずかに下回った。一方、下半期(7-12月期)は、「リオデジャネイロ オリンピック・パラリンピック」「2018FIFAワールドカップロシア アジア最終予選」などが推進力となり、前年を上回った。地域別では、通年で基幹8地区中、福岡、北海道、仙台、広島で前年超えだった。
インターネット広告費(媒体費+広告制作費)は前年比113.0%の1兆3,100億円。媒体費が1兆円を初めて超えるなど、インターネットメディアへのシフトは続いた。このうち運用型広告費は、7,383億円(同118.6%)。運用型広告が好調な主な要因としては、データ/テクノロジーを重要視する広告主が増え、データ連携可能な運用型への注目が高まったことや、高機能化によってリーチやブランディングなどの役割もカバーし始めたことなどが挙げられるとしている。 (編集担当:慶尾六郎)